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Jリーグ 2年前

残留への希望。ガンバ大阪がマリノスを封じた守備戦術。「すごくハッキリした」のは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

ガンバ大阪は監督交代で何が変わったのか



 彼自身もこの大一番には並々ならぬ闘志を燃やしていたはず。ご存じの通り、今季は3月に右ひざ内側半月板損傷の手術を強いられ、前半戦を棒に振るという苦境を強いられた。その間、チームは宇佐美貴史、倉田秋ら主力級をケガで欠き、複数回のコロナ陽性者発生で落ち着かない状態が続いた。片野坂知宏監督率いる新体制でスタートしたチーム作りもスムーズに進まず、8月には指揮官交代という事態にまで発展したからだ。

 後を引き継いだ松田浩監督はヴィッセル神戸、栃木SC時代などを通して「守備構築に長けた指揮官」と定評のある人物。今回もまず守りの修正に着手。J1残留を最優先に見据え、現実的な戦い方にシフトした。その成果もあり、松田体制のリーグ7戦を見ると完封が4と失点数が確実に減っている。「後ろから見ていても立ち位置がすごくハッキリした」と東口も変化を口にする。

 守備陣のリーダー・昌子源も\「ボール中心にしっかりと守れるようになった」と言う。

「マリノスさんの場合はポジションの移動が多くて、特に両サイドバック(SB)が高い位置を取ったりする。そこで惑わされてはいけない。人を中心に守ると、どうしてもマンツーマンみたいになって入れ替わりが激しくなるけど、ボール中心に守れば、そこまで動かなくていいし、中を固められる。その分、小野瀬(康介)や(ファン)アラーノの両サイドハーフに運動量の負担が行くけど、彼らも覚悟してやってくれたと思う」と相手の特徴を踏まえた守備戦術を実行し続けたのだ。

 それが奏功し、相手の猛攻を防ぎ続けたガンバ。そしてマリノスの弱点でもあるリスタートから攻めの糸口を探った。

 最たるシーンが前半8分の先制点だろう。

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