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「大学サッカーで成長できるか」は根本的に間違っている。京都サンガ曺貴裁監督「考え方は日本もドイツも同じ」【育成主義3】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

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湘南ベルマーレ時代も含め、曺貴裁監督は多くの選手たちに成長のきっかけを作ってきた。育成年代やトップカテゴリー、そして大学サッカーでも指導経験がある指揮官は、三笘薫を筆頭に大学サッカーから優秀な人材が輩出される昨今の国内の育成環境をどう見ているのか。全4回の短期連載の第3回では、曺監督が考える育成の本質と教え子へかける思いの強さが垣間見えた。(取材・文:藤江直人)


曺貴裁監督は大学サッカーをどう捉える?


【写真:Getty Images】

 カタールワールドカップ期間中から、日本代表の攻撃で違いを生み出していたMF三笘薫のキャリアが世界の耳目を集めていた。所属するブライトンでゴールを量産し、サッカーの母国イングランドを席巻しているいまは、25歳のドリブラーをめぐるフィーバーはさらにスケールアップしている。

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 ヨーロッパの感覚では、プロクラブのアカデミーから大学を経由し、4年もの時間を費やして川崎フロンターレでプロになった三笘の選択肢が奇異に映ってしかたがないのだろう。ましてや三笘は高校卒業前に打診された、トップチームへの昇格を辞退していたからなおさらだ。

 筑波大に進んだ三笘が卒業論文でドリブルをテーマにした件も、図らずも大きな反響を呼んだ。たとえばイギリスの日刊紙『Daily Mail』は、三笘をテーマにした記事でこう言及していた。

「ドリブルの学位を取得するためにサッカー選手としてのキャリアを遅らせる、という勇敢な決断を下した彼はいま、ブライトンのスターとしてその恩恵を享受している。ドリブルの学位を持つ彼が、いまやプレミアリーグを席巻しているのは決して驚くべき状況ではない」

 記事内の「遅らせる」という表現からも海外、特にヨーロッパが大学サッカーをどのように位置づけているのかがわかる。ならば、日本のサッカー界は三笘論争をどのように受け止めているのか。

 早稲田大学から日立製作所(現柏レイソル)に加入。Jリーグ黎明期の1994年には浦和レッズへ移籍した現役のキャリアを持ち、湘南ベルマーレの監督を退任した後の2020年には流通経済大でコーチを務めた経験を持つ曺貴裁 監督は、議論そのものが「ナンセンス」と一刀両断する。

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