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Jリーグ 1年前

「大学サッカーで成長できるか」は根本的に間違っている。京都サンガ曺貴裁監督「考え方は日本もドイツも同じ」【育成主義3】

シリーズ:育成主義 text by 藤江直人 photo by Getty Images

「大学サッカーで成長できるか」は根本的に間違っている



「プロだからいい指導ができる、大学だからいい指導ができるという議論がそもそも根本的に間違っていますよね。選手は誰に出会うかも大事だし、同時に何に出会うかも大事。サッカー以外のものに出会ってサッカーが急激に伸びる選手もいるし、サッカーだけやっていて逆に伸び悩んでしまう選手もいる。その意味で言えば大学に行ったから伸びない、プロでやっていた方が伸びるという議論もその逆も、スタートも結論も両方ともおかしいと思っています」

 スポーツ推薦で筑波大体育専門学群に進学した三笘は、蹴球部で小井土正亮監督という恩師に、ドリブルを自分の絶対的な武器に昇華させるというテーマに出会った。トップ下やボランチを務めていた三笘は4年間を経て、左サイドを主戦場とする稀代のドリブラーへ変貌を遂げている。

 今シーズンの京都の日本人選手を見ても、2種登録選手を除いた29人のうち12人が大学出身で、中退してプロに入った選手もいる。現役引退後に留学し、指導者になった後もオフに視察を繰り返すなど、特にドイツのサッカー界に精通する曺監督はさらにこう続けた。

「たとえばある選手が、ボルシア・ドルトムントのセカンドチームに加入したとします。そこからドルトムントのトップチームに昇格できなくても、2部のパーダーボルンへ移籍して、そこでの活躍が認められてドルトムントに移籍する選手が大勢いるわけです。日本の場合、たまたま大学があるわけですけど、考え方としてはドイツも、あるいはイギリスも同じだと思います。大学生にとってはプロになる前の登竜門というか、ステップアップのひとつとして大学生年代の真剣勝負が待っている。僕は流通経済大でコーチを務めさせてもらったので、その点が非常によくわかるんです」

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