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Jリーグ 1年前

いかにして鹿島アントラーズはどん底から脱したのか? 昌子源を外した影響と立ち返る場所【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「チームとして成長している部分かなと思う」


【写真:Getty Images】



 こうなるとガンバはリスクを冒して攻めに出るしかなくなる。前がかりになって後ろが手薄になったところを鹿島攻撃陣は虎視眈々と狙っていく。それが結実したのが、土居聖真の連続弾。86分には途中出場の藤井智也からパスを受けて左足を一閃し、豪快にネットを揺らした。そしてその1分後には左から藤井、安西幸輝とつながり、ペナルティーアークから右足を振り抜いてゴールを決めた。

 途中出場ながらわずか2分間で2点を奪うという離れ業をやってのけた背番号8は「こういうのは初めてかもしれない」と笑みをこぼしつつ、「悪い流れを我慢できるようになったところがチームとして成長している部分かなと思う」と安堵感をのぞかせた。

 結局、試合は4-0で終了。鹿島はなかなか勝てなかったホームでリーグ初白星を挙げ、今季初の連勝。順位も9位まで上がり、希望が見えてきた印象だ。加えて言うと、川崎フロンターレ戦や横浜FM戦のように今季は試合終盤に失速する形が多かったが、今回は後半にギアを一気に上げて大量得点勝利を飾れた。その試合運びを見て、岩政監督も「こういう勝ち方ができれば勝ち星は自然とついてくる」と手ごたえを口にしていた。

 神戸戦での大量5失点というどん底から這い上がれた要因を改めて考えてみると、4-4-2への回帰が1つあるだろう。鹿島は長年、この布陣で戦ってきたため、植田や鈴木、安西など在籍年数の多い面々はこちらの形の方がスムーズにプレーできるのではないか。佐野海舟が負傷離脱したこともシステム変更の契機になったが、ピトゥカと樋口も以前より攻守両面の仕事量が増え、落ち着いてプレーできるようになった。そこは前向きなポイントと言っていい。

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