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Jリーグ 12か月前

「無理はしたけど」酒井宏樹が浦和レッズで果たした重責。百戦錬磨の安定感とリスク管理【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by AFC

アル・ヒラルの猛攻に立ちはだかったのは…


【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】


 前半のポゼッション率は32%対68%と圧倒的劣勢を余儀なくされた浦和だが、強風が吹き荒れる風下でのプレーということもあり、ある意味、想定内の展開だったはず。気を取り直して後半に突入した。

 その開始早々の3分に均衡が破れる。きっかけは岩尾憲の遠目の位置からのFK。これをマリウス・ホイブラーテンが打点の高いヘッドで落とし、興梠が反応。この動きに相手守備陣が戸惑い、最終的にカリージョが自陣ゴールにボールを蹴り込んでしまったのだ。オウンゴールという形ではあったが、1点は1点。大きなアドバンテージを得たのは確かだろう。

 アル・ヒラルも1点取れば延長戦に持ち込めるということで、後半20分過ぎから続々と攻撃カードを切ってきた。システムも4-4-2に変更。右MFに移動したカリージョ、左MFに移ったミシャエウらが次々とクロスを蹴り込んで、浦和ゴール前を脅威に陥れた。

 そこで立ちはだかったのが、西川周作。1stレグで好セーブを連発していた名守護神は鋭い反応を見せ続け、ゴールを割らせない。後半アディショナルタイムにはオディオン・イガロの強烈なシュートを堂々とセーブし、値千金の大仕事をしてみせた。

 キャプテン・酒井も4月9日の名古屋グランパス戦で負傷した右太ももの状態が芳しくない中、フル稼働。痛みに耐えて猛然と走り続けた。本来ならば、2戦続けてピッチに立つことさえ不可能な状態だったのではないか。

「まあ無理はしましたけど、無謀ではなかったかなと。サッカー選手なので無理をすることは多いですし、みんなどこかしら痛めてますからね。チームメートにはホントに助けられたし、つきっきりでケアしてくれたトレーナーさんたちにはホントに感謝しています」と本人も語っていた。

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