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Jリーグ 12か月前

「無理はしたけど」酒井宏樹が浦和レッズで果たした重責。百戦錬磨の安定感とリスク管理【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by AFC

我慢の中で浦和レッズが見出した絶好のチャンス


 1stレグも前半30分までは圧倒的に支配され、耐えて勝機を見出した浦和だったが、この日も同じような展開を強いられた。アル・ヒラルは1stレグで退場処分を受けたサーレム・アッ=ドーサリーが出場停止で、ボランチのサルマン・アル=ファラジュも欠場しており、スタート時の基本布陣を4-4-2から4-3-3へシフト。左FWにはアブドゥラー・アルハムダン、インサイドハーフ(IH)にアンドレ・カリージョを起用。中盤から前が流動的に動いて浦和守備陣を混乱に陥れようと仕向けてきた。

 とりわけ、酒井宏樹と大久保智明が縦に並ぶ右サイドの守備は難易度が高かった。というのも、左FWアルハムダンがゴール前まで侵入し、左IHのカリージョが大外に開き、左SBモハンメド・アルブライクが中に絞るといった変則的な位置取りを見せたからだ。酒井と大久保は2人で3人を見るような形になり、5バック気味になることも多く、非常に耐える時間が長かった。

「僕がSB(アルブライク)に行くことによって、サイドハーフ(アルハムダン)をフリーにさせるような方法を採ってきていたので、トモ(大久保)には申し訳ないけど、低めの位置を取ってもらいました」と酒井は説明していたが、0-0以上で優勝というレギュレーションを考えればリスクを最小限にとどめることが大事。そこはしっかりと頭に入れながらプレーした様子だ。

 こうした中、浦和も鋭いカウンターから決定機を作った。前半最大のビッグチャンスは30分。伊藤敦樹が右に開いた瞬間、背番号2はインナーラップを開始。ペナルティエリアに侵入して、ラストパスを中央に送った。ここに走り込んだのがエース・興梠。背番号30の右足ボレーはクロスバーを強襲し、惜しくも枠を捉えることはなかったが、ここ一番の勝負強さの一端が感じられた。

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