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Jリーグ 11か月前

浦和レッズ背番号14が抱く“師匠”への思い。2得点の喜びを上回った感情とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

関根貴大が悔やんだシーン「いやぁ、マジかと思いました」



「走っていく側もクロスを上げる側も、人というよりは意図的にスペースへ向かっていた。なので、より勢いを持ってペナルティーエリアのなかへ入れたと思います」

 実は2分後にも関根はゴールネットを揺らした。ラストパスを送ったのはまたも大久保。わずか6分間でハットトリック達成か、と埼玉スタジアムが沸き上がった直後にオフサイドの旗が上がる。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチェックを経ても判定は変わらなかった。

 ただ、関根自身も「感覚的にもちょっと(体が)出ていたので。正直、オフサイドだなと思っていました」と打ち明ける。それよりも悔やまれるのが、52分に訪れたビッグチャンスだ。

 自陣で酒井がカットしたボールを興梠が頭で落とし、さらに関根がワンタッチで前方のセンターサークル内にいた安居へ繋げる。相手選手を背負いながらこらえた安居が巧みに反転。自身を追い抜いて前方へ走り込んでいった伊藤へ縦パスを通し、ショートカウンターを発動させた。

 ドリブルで相手ゴールに迫る伊藤の左側を興梠が、右側を関根が駆け上がっていく。大野のタックルを強引にかわした伊藤がさらに前へ進み、ペナルティーアークのあたりで右足を振り抜いた。しかし、シュートはカバーに入ってきたDF山本脩斗にブロックされてしまった。

 このとき、右側にフリーでいた関根は天を仰ぎ、悔しさを込めて両手を叩いている。伊藤からパスが来ると信じ込んでいたからか。苦笑しながら「いやぁ、マジかと思いました」とこう続けた。

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