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Jリーグ 10か月前

浦和レッズ背番号14が抱く“師匠”への思い。2得点の喜びを上回った感情とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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 明治安田生命J1リーグ第12節延期分、浦和レッズ対湘南ベルマーレが28日に行われ、浦和が4-1で勝利した。関根貴大は2得点を挙げる活躍で、浦和を4試合ぶりの勝利へと導いている。師と仰ぐ池田伸康コーチが現役時代につけた番号を背負う28歳がチームを牽引する。(取材・文:藤江直人)


関根貴大「それだけを狙っていた」

明治安田生命J1リーグ第12節延期分、湘南ベルマーレでゴールを決めた関根貴大

【写真:Getty Images】

 プロになって10年目で初めて1試合で2ゴールを決めた喜びよりも、ハットトリックを逃した悔しさが上回った。

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 4試合ぶりの勝利をあげた直後の取材エリア。61分に勝ち越しゴールを、わずか4分後の65分にはリードを2点に広げる追加点を決めた関根貴大が、ちょっぴり表情をしかめた。

「ハットトリックを達成できるチャンスなんて本当にないので、それだけを狙っていました。監督もそれを期待しているのかな、というぐらい引っ張ってくれたので。それに応えたかったですね」

 横浜FCとの前々節は左サイドハーフで先発して67分までプレーし、川崎フロンターレとの前節では後半開始から途中出場して今シーズン初ゴールも決めた。湘南ベルマーレ戦で再び先発した関根は、終了間際の87分にDF馬渡和彰と交代するまで攻守両面でチームのために走り切った。

 精根尽き果てかけたなかで、ここまできたらハットトリックを達成してこい、と言わんばかりのマチェイ・スコルジャ監督のエールをベンチから感じた。残念ながら歓喜の瞬間は生まれなかったが、それでも後半に訪れた2度のチャンスで、ともにゴールネットを揺らした場面は圧巻だった。

 61分の最初のゴールは自らの力でこじ開けた。ボランチ伊藤敦樹から中央やや左よりの位置で横パスを受けた関根は、迷わずに縦方向へのドリブルを開始。ペナルティーエリア内へ侵入した直後にシュートフェイントで右へ切り返し、追走してきたMF小野瀬康介のマークをまず外した。

 今度はゴールラインに平行する形で、ゴール正面へ進みながら再びシュートフェイント。DF大野和成のスライディングタックルを不発に終わらせると、湘南の選手はもう飛び込んで来られない。ひと呼吸置いて右足から放たれた強烈な一撃が、右ポストを叩きながらゴールへ吸い込まれた。

「最後は思い切って打ちましたけど、その前の過程で自分がすごくいいところでボールを受けられたし、相手と駆け引きしながら2人を滑らせることもできた。すごく冷静にプレーできました」

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