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Jリーグ 11か月前

浦和レッズ背番号14が抱く“師匠”への思い。2得点の喜びを上回った感情とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「決めるのはサポーターの方々なので」



「もちろん『14』が浦和レッズというクラブで、すごく大事な背番号なのはわかっています。ただ、僕のなかでは、師匠である池田伸康さんがかつて浦和レッズでつけていたという意味で、僕がアカデミーにいたときから『14』がすごく大事な背番号なんです。池田さんがつけていた背番号を僕がつけて、何て言うんですか、(魂を)引き継いでいきたい、という思いありました」

 スコルジャ体制となった今シーズンからトップチームに入閣している池田コーチは、Jリーグが旗揚げされた1993シーズンに早稲田大から浦和レッズに加入。Jリーグが固定背番号制になって3年目の1999シーズンに1年だけ「14」を背負い、翌年には川崎フロンターレへ移籍した。

 現役引退後の2004年から、浦和の普及グループやアカデミーでコーチや監督を歴任。中学に進学した2008年から浦和の一員となった関根の指導にもあたり、いまも師匠と慕われる存在になった。

 池田氏が初めてトップチームのコーチに就任した2017年8月。関根は入れ替わるようにインゴルシュタットへ移籍し、関根が2019年6月に復帰する直前にはユースの監督に就任していた。すれ違いが続いたなかで、今シーズンからプロになって初めてトップチームで同じ時間を共有している。

 そして、4月に28歳になった関根は、気がつけば生え抜きの選手では最年長になった。

「それは自分が決めることじゃない。決めるのはサポーターの方々なので、僕は頑張るだけです」

 出場30試合で1ゴールだった昨シーズンから一転、無敗でリーグを制した2015シーズンのファーストステージ以来、7年ぶりとなる連続試合ゴールをマーク。浦和を快勝に導いた湘南戦で背中を光り輝かせたか、との問いに上記のように答えた関根は、一方でこんな言葉を紡いでいる。

「引き分けを考えたら本当に悔しいし、(勝ち点を)取りこぼしてしまった、という思いはありますけど、ここからまた新たな勝利を積み重ねられるように、いいきっかけにしていかないといけない」

 前節までの3試合連続ドローを含めて、なかなか勝ち切れない試合が続いた期間を関根はこう振り返った。ただ、8試合連続無敗(4勝4分け)を継続中と負けてもいない浦和は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の関係で未消化だった湘南戦での快勝をへて4位に浮上した。

 首位の横浜F・マリノスとの勝ち点差は6ポイント。ACL決勝でアル・ヒラル(サウジアラビア)を撃破し、3度目のアジア制覇を達成した直後から、浦和の目標はJ1との同一シーズン優勝に切り替えられている。再び勢いをつけそうな浦和を、身長167cm体重61kgの小さな体に真っ赤に燃えるエネルギーを搭載し、ゴールへの嗅覚をも蘇らせつつある関根がけん引していく。

(取材・文:藤江直人)

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