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Jリーグ 9か月前

「齊藤未月のことを思えば…」ヴィッセル神戸がプレーに込めた同僚へのメッセージ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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明治安田生命J1リーグ第25節、FC東京対ヴィッセル神戸が26日に行われ、2-2の引き分けに終わった。国立競技場で行われたこの試合は、試合終了間際に計3得点が生まれる劇的な展開に。齊藤未月を失った神戸の選手たちは、どんな思いでこの一戦に臨んだのだろうか。(取材・文:藤江直人)


FC東京から奪った価値あるゴール

同点ゴールを決めたヴィッセル神戸MF山口蛍
【写真:Getty Images】

 時計の針は103分を大きく回っていた。表示されていた後半のアディショナルタイムは13分台。試合終了を告げるホイッスルが、いつ鳴り響いてもおかしくない土壇場で奇跡が起こった。

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 敵陣の中央でFC東京のクリアを拾ったMF扇原貴宏がひと呼吸置いてから、ペナルティーエリア内の右側にポジションを取り、ボールを要求していたFW大迫勇也へクロスを供給する。DF長友佑都とのマッチアップを頭で制した大迫が、ふわりと浮かせたボールをゴール中央へ折り返した。

 ターゲットはゴール前に詰めていたFW武藤嘉紀でも、FWジェアン・パトリッキでもなかった。マイナス方向に落ちてくるボールへ、エリアの外からフリーで走り込んできたのはキャプテンのMF山口蛍。落下点をしっかり見極めながら、右足をピッチと平行させる形で振り抜いた。

 慌てて間合いを詰めてきたDF木村誠二のブロックも間に合わない。しかも、木村の体がブラインドになったのか。GK野澤大志ブランドンの反応もわずかに遅れる。必死に体勢を立て直し、ダイブした野澤の右手をかすめた強烈なボレーシュートが、ゴールの左隅へ突き刺さった。

 2-2の同点に追いつく起死回生の一撃。しかし、上位戦線に踏みとどまる上で大きな勝ち点1を手にしながら、試合後の取材エリアに姿を現した山口は厳しい視線を自チームへ向けた。

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