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「鹿島アントラーズに行ったことを後悔したことはない」杉岡大暉が古巣に抱く特別な感情

text by 編集部 photo by Getty Images

絶対に見失ってはいけないところ




「鹿島に行ったことを後悔したことはないですし、今までやってきたことを思い出す、特別な感情になった」

 杉岡は特別な感情を抱きながら古巣との対戦に臨んだが、湘南はロングボールを多用する鹿島に押し込まれてしまう。キックオフから主導権を握られ、チームは8分という早い時間に先制を許した。

 しかし、湘南は勢いを取り戻していく。「球際やセカンドボールで勝てるようになったのがすべてだと思いますし、今まで忘れていたバトルのところは鹿島の強さがあってこそ引き出された」と杉岡が言うように、結果的に鹿島が湘南を目覚めさせた形となった。

 35分の同点ゴールは、左ウイングバックで先発した杉岡を起点にゴールが生まれた。恩返しという言葉が正しいかはわからないが、試合前にブーイングを浴びせていた鹿島サポーターに向けて、成長した姿を見せる形となった。

 田中聡が体勢を崩しながらロングフィードを放ち、平岡大陽が敵陣左サイドでキープする。落としを受けた杉岡は斜めに切り込んで鋭いパスを前線に送る。ゴール正面に走っていた小野瀬康介はこれをヒールで落とし、大橋祐紀が右足を振り抜くと、低い弾道のシュートはニアサイドに突き刺さった。

 杉岡は「鹿島が激しく来ている中で、ひとつ裏返したらいいところが空いていた。少しギリギリになりましたけど、康介君にいいボールを出せたと思う」と同点ゴールを振り返る。チームとしても前への迫力を出しながら、連動してボールを動かすことができたお手本のようなシーンになった。

 良いところがないわけではないものの、勝ちきれない試合も多く、湘南は浮上のきっかけを掴み切れていないのが現状だ。キャプテンマークを巻く杉岡は、「そこ(球際の強さ)は絶対に見失ってはいけないところだった。それを見つけられたいいきっかけになればいい」と話す。酸いも甘いも噛み分けた90分を糧に、湘南は次戦へと準備を進める。

(取材・文:加藤健一)

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