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日本代表 8か月前

冨安健洋はどう生きるか。「人生で一番タフな1年」を乗り越えサッカー日本代表に復帰【現地コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

冨安健洋を苦しめる負の連鎖

アーセナルで度重なる怪我に悩まされた冨安健洋
【写真:Getty Images】



 それが達成できれば、ここまでの負の連鎖を断ち切ることができるだろう。冨安は2021年夏にアーセナルへ赴いてから移籍して以降、左右にふくらはぎや右ひざを痛め、長期離脱を繰り返してきた。2022年は冨安にとって厄年(本厄)で、肝心のカタールW杯でも、初戦・ドイツ代表戦は何とか後半から出場したが、スペイン代表戦も終盤のみピッチに立っただけ。最後のクロアチア代表戦でようやく先発したものの、不安定なパフォーマンスに終始してしまった。

「今大会はトップパフォーマンスを出せた試合は1つもなかった。ケガを含めてホント、嫌になりますね。自分は何をやっているんだろうという気持ちが強い分、どうしたらいいんだろうという感じです」と彼は大会終了直後に苛立ちを募らせた。日頃冷静な冨安がここまで激しい感情をメディアにぶつけたのは初めてではないか。

「昨季はW杯やアーセナルを含めて今までのサッカー人生で一番タフな1年だったのは間違いない。どう戻るかという中で自信を失う時期もあったし、いろんなことも考えました。それでも今季はアーセナルでやることがもう決まったので、高い要求に応えていけるようにやるだけかなと思います」と本人は前向きになろうと必死に取り組んでいる。今季に入り、ようやく少しずつ浮上の兆しを示しつつある時だけに、このドイツ代表戦で本来のプレーを示せれば、冨安自身も大きな手ごたえをつかめるはずだ。

 それが日本代表のプラスになるになるのも間違いない。森保監督もドイツ戦前日会見で冨安をこう評していた。

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