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Jリーグ 7か月前

「ヴィッセル神戸」を取り戻した180分。“らしさ”を思い出させた2つの宝刀とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「僕たちの良さは何か」「下がるだけが守りじゃない」

セレッソ戦に抜擢されたヴィッセル神戸MF佐々木大樹
【写真:Getty Images】



「佐々木の身体の強さとキープ力で、相手チームの特長を消したかったのと、守備も上手いので左で使いました。期待以上の活躍をしてくれたし、これぞ神戸、という試合ができたと思っています」

 指揮官が満足そうに口にした「これぞ神戸」とは何なのか。答えは期待に応えて毎熊を封じ、59分には縦パスに抜け出して決勝ゴールも決めてヒーローになった佐々木の言葉に凝縮されている。

「正直、最近は先に失点する試合が多かったんですけど、そのなかで失点をしない、という部分を考え過ぎて、後ろ向きになっていたとチームのなかで話していました。自分たち発信で守備、自分たち発信で攻撃をしよう、と。デュエルで勝たないと、チームのリズムはよくならない。なので、僕個人のデュエルが求められての起用だったと思うので、合格点ぐらいはあったんじゃないかなと」

 佐々木のゴールをアシストしたDF初瀬亮も、原点回帰こそがすべてと力を込めていた。

「決して綺麗な試合ではなかったかもしれない。それでも、僕たちのよさは何か、というところをもう一度実践できた試合だと思う。先に失点する試合が続いていたなかで、下がるだけが守りじゃない。やはり前から行く、というのが自分たちの持ち味だと思うので。それを気持ちで前面に出せました」

 前半途中に齊藤が負傷退場した柏戦を皮切りに、FC東京戦、京都サンガF.C.戦、サンフレッチェ広島戦と神戸はすべて先に失点していた。時間帯はすべて前半。京都には何とか逆転勝ちしたが、柏とFC東京とは引き分け、開始7分に先制された広島には最終的に0-2で完敗を喫していた。

 マリノスも歩調を合わせるように勝ち点を伸ばせなかった状況で、神戸はかろうじて首位をキープしていた。そのなかで迎えたセレッソ戦で、神戸は実は大きなプレッシャーを乗り越えている。この時点で5敗を喫していたが、連敗は一度もなかった。守護神の前川黛也がこんな言葉を残している。

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