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「戦術以上に大事なことがある」スペイン人指導者が分析したサッカー日本代表「好調の要因」【前編】

シリーズ:フットボール批評オンライン text by 川原宏樹 photo by Getty Images

「このような準備で解決できる」

サッカー日本代表の久保建英と菅原由勢
【写真:Getty Images】

「一般的な療法としては、ビデオセッションを行なって確認をします。その後、クロスに対する対応についてトレーニング内でも確認します。ほとんどの場合は、このような準備で解決します。とはいえ、ゲームに臨むテンションや対峙する相手の質によって選手の姿勢に変化があると思われます。あえて修正点として挙げましたが、そもそも今回はそこまで意識を高めて取り組んでいたわけではないでしょう」

 総じて、攻撃面だけでなく守備面においても、次の展開を予測して味方と連動しながら動くことができている。攻守両面において、日本代表は試合を重ねるたびに理解を深めてきた証拠がプレーに表れているということではないだろうか。

 そういった理解の深まりや連動性の向上について、アレックスは森保一監督の手腕が関係していると説明する。

「今年の国際Aマッチウィークで、(メインとなる主力選手については)日本代表はほぼほぼ同じメンバーを招集していますよね。チームにおいて戦術は重要なものですが、それ以上に大事なことがあります。それは、プレーする選手たちが各々の役割を理解して、味方の役割やキャラクターも理解するということです」

「どのタイミングで裏へ動き出すのか、どの状況でポジショニングをステイさせるのか、そういった一瞬一瞬の判断をゲームのなかでみんなが調整して擦り合わせていかなければなりません。それぞれの選手個々による判断のコネクションがチームになるともいえるのですが、日本代表は今年の親善試合をその質の向上に費やしたのだと思います」

 チームづくりの方法はさまざまあるが、時間の限られた代表チームを構築していくうえでは「重要な要素であり、正しいプロセスをたどっている」と、アレックスは森保監督の指導法に太鼓判を押している。

 次回は11月から始まるアジア2次予選や1月に開催されるアジアカップをどのように戦うべきか、アレックスの考えが明かされる。

(取材・文:川原宏樹)

【了】

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