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Jリーグ 11か月前

ヴィッセル神戸主将の本音。「これほど残酷なことはない」悲鳴を上げた山口蛍の左膝【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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明治安田生命J1リーグ第33節、ヴィッセル神戸対名古屋グランパスが25日に行われ、2-1で勝利した神戸がクラブ史上初のJ1優勝を決めた。キャプテンマークを巻く山口蛍は、この試合で怪我から復帰。2019年に加入した山口がこうして優勝シャーレを掲げるまでには、辛く険しい道のりがあった。(取材・文:藤江直人)


優勝に感極まるヴィッセル神戸のキャプテン

ヴィッセル神戸MF山口蛍
【写真:Getty Images】

 不意に言葉が途切れた。大迫勇也に続いて登場した優勝インタビュー。本拠地ノエビアスタジアム神戸のピッチ上で、左腕にキャプテンマークを巻いたヴィッセル神戸の山口蛍が男泣きした。

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「個人的に最後、チームにすごく迷惑をかけてしまったので、ホームで戻ってきたいと思っていたし、間に合うかどうかギリギリだったなかで、間に合わせてくれたメディカルスタッフを含めて……」

 ここまで言うと、山口は首にかけていた特製の優勝タオルマフラーを握りしめた左手でおもむろに口元を、そして目頭を覆った。沈黙が続くなかで、スタンドからは「頑張れ」と温かいエールが降り注いでくる。大きく息をついた山口は潤んだ瞳で空を見上げながら、再び言葉を紡ぎ始めた。

「……家族の支えもありますし、チームメイトたちもずっと待ってくれていたので、最後、こうやっていい形で戻ってくることができて本当によかった」

 おそらくはこみ上げてくる熱い思いを必死にこらえながら、山口はインタビューに臨んでいたはずだ。4分台が表示された後半のアディショナルタイムをへて、清水勇人主審が優勝を告げる主審のホイッスルを鳴り響かせた瞬間から、実は山口の涙腺は決壊していたからだ。

 センターサークルの後方で仰向けに倒れ込んでしまった山口は、両手で顔を覆ったまま、しばらく動けなかった。川崎製鉄サッカー部を改め、1995年にヴィッセル神戸として再スタートを切ってから29年目で手にしたJ1リーグ制覇。普段はクールに映る山口の脳裏にはこのとき、どのような思いが駆け巡っていたのか。

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