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もし相手監督なら…。スペイン人指導者に訊くサッカー日本代表のリズムを崩す戦略。「対角を狙います」「感覚を狂わせたい」

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Getty Images

フットボール批評オンライン 短期連載(3)

国際Aマッチ8連勝中というサッカー日本代表に、互角の勝負ができるアジアのチームは少ないだろう。ただ、だからと言ってチャンスがないわけではない。インタビュー第3回では、スペイン人指導者アレックス・ラレアが対戦相手の視点から日本代表の弱点をあぶりだす。(取材・文:川原宏樹)


【プロフィール】アレックス・ラレア

プロ選手としてカナダでプレーした後、指導者の道に進み、欧州最高位の指導者ライセンスUEFA PROを取得する。2020年からは元スペイン代表、元ヴィッセル神戸のダビド・ビジャが主宰するサッカースクール『DV7サッカーアカデミー』日本支部のディレクター・コーチを務める。

ダビド・ビジャとアレックス・ラレア
【写真:川原宏樹】

「ハーランドがいてもいい?」「選手が変われば戦術が変わる」

 アジア2次予選の第1節、第2節で快勝を収めた日本代表は、元日のタイ代表戦を経て1月12日(日本の初戦は14日)から開幕するAFCアジアカップに挑む。その後、再び2次予選を戦い、9月からはFIFAワールドカップ出場権が決まるアジア3次予選が始まる。2次予選やアジアカップのグループリーグではミャンマーやシリアと同様の格下と戦うことになるが、勝ち進んだ先には日本代表と拮抗した力を持つ相手と戦うことになる。

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 今回は逆説的に日本代表を分析。UEFA PROライセンスを持つスペイン人指導者アレックス・ラレアが、仮に日本のライバル国を率いたらどう戦うかという視点から現在の日本代表の問題を徹底的にあぶり出す。

「日本の対戦国の監督がアレックスだったら」と質問を投げかけると、「僕が率いるチームにはアーリング・ブラウト・ハーランドがいてもいいのかい?」と冗談まじりの返答があった。すぐに、アジアのライバル国で同等あるいはやや劣るくらいの相手を想定してほしいとリクエストした。

 ハーランドの件は極端なジョークではあったが、本来の意味は「選手が変われば戦術が変わる」ということの主張だった。また、その真意には「世界で最も活躍するストライカーの1人でもいないと、今の日本代表に勝つのはなかなか難しい」ということが込められていたような気がした。

 そこでより明確な対策案を提示してもらうため、「もともとカウンターを得意とする中東の国で、今の日本よりやや劣るチーム」と設定し、具体的にはカタール、イラン、UAE、オマーンあたりを想定してもらうようにした。

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