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Jリーグ 4週間前

「本当に厳しい言葉を…」FC町田ゼルビア、昌子源の「声」がもたらす刺激。偉大な“2人の主将”に追いつくために【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

勝ち越しを生んだ昌子源の声かけ



 町田は守備強度を前面に押し出し、奪ったらシンプルにタテに出し、長身FWオ・セフンを狙うという普段通りの戦いからスタートした。そして開始14分に得意のリスタートから幸先のいい先制点を奪う。仙頭啓矢の左CKをファーサイドで右足ボレーで合わせたのが、かつてFC東京でプレーしていたナ・サンホ。「デザインされたプレーから点が取れた」と黒田監督もしてやったりの表情を浮かべた。

 しかし、直後の21分、バングーナガンデ佳史扶の蹴ったボールが不運にもペナルティエリア内でドレシェヴィッチの手に当たり、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)でハンドと判定。PKが与えられた。これを小柏剛が蹴り、守護神・谷が反応したものの、右ポストに当たってゴール。瞬く間に1−1に追いつかれてしまった。

 そこでキャプテン・昌子はチームを統率すべく、的確な声かけで士気を高めた。

「ルヴァンもそうだけど、1−1になっただけ。僕らのプランとしては、もちろんゼロが理想ですけど、ビハインドを追いかけているわけじゃない。『もう1回、0−0から行こう。点を取りに行けば大丈夫だ』とみんなに話をしたんです」と今季J1初先発を果たした31歳のベテランDFは気合を入れ直したという。

 前向きなアクションがプラスに働いたのか、4分後にスーパープレーが飛び出す。ドレシェヴィッチのロングパスに右サイドバック(SB)の望月が反応。タッチラインギリギリのところで追いつき、折り返すことに成功したのだ。次の瞬間、ゴール前に飛び込んだのがオ・セフン。打点の高いヘッドが決まり、町田はすぐさまスコアを2−1にしたのである。

「同点に追いついた数分後にロングボール1本で失点するのはあってはならないこと。町田がロングボールを蹴ってくるのは分かっていた話。自分自身、あそこで結構メンタル的に落ちたし、勝負の別れ際をもっと全員が把握しなきゃいけない。今日はチーム全体に緩さがあった」とFC東京の遠藤渓太も反省しきりだった。ちょっとした隙を確実に突いてくるのが、今季の町田の老獪さなのだろう。

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