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アジア 3週間前

「本物のレベルに…」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムにとって特別な120分。脳裏に浮かんだ「自分の軌跡」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

1人退場。放たれたシュート数はなんと…



「どこかで一人は(真ん中に)蹴ってくるだろうな、と。最近のトレンドみたいになっているし、誰が蹴ってくるのかは僕自身の判断で決めたなかで、止めたという感覚はあったんですけど。(予測通りで)ちょっと拍子抜けしたというか、ボールが少し速かったのもあって……ちょっともったいなかったですね」

 17日に敵地で行われたファーストレグで、マリノスは0-1と苦杯をなめた。あいにくの雨が降りしきる状況で迎えたセカンドレグでは、一転して13分にMF植中朝日が先制ゴールをゲット。21分にFWアンデルソン・ロペスが、30分には再び植中がゴールネットを揺らした。

 しかし、蔚山も36分に右CKから1点を返す。さらに3分後にはカウンターから抜け出したFWオム・ウォンサンが最終ラインの背後に抜け出し、ペナルティーエリア内の右で中央へ切り返す。次の瞬間、ボールは必死に追走し、スライディングで止めようとしたDF上島拓巳の右腕に当たってしまった。

 イランのアリレザ・ファガニ主審は、上島のハンドによるPKを宣告。さらに決定的な得点機会を阻止する、いわゆるDOGSOで上島に問答無用のレッドカードを提示した。MFダリヤン・ボヤニッチがポープの逆を突くPKをゴール右へ決めて、あっという間に2戦合計スコアを3-3とした。

 ここからは数的優位に立つ蔚山が主導権を握り続けた。アジアサッカー連盟(AFC)の公式スタッツによれば、延長戦を含めた120分間で蔚山が放ったシュート数は実に40本に到達。そのうちペナルティーエリア内で放たれたものが26本を、ゴールの枠内に飛んだものが15本を数えた。

「もう耐えるだけというか、自分のところで何とかゼロ……あれ以上は失点しないように意識していた」

 文字通りの防戦一方となった展開で、ポープのシュートストップ数は13本を、フィールドプレイヤーによるシュートブロックは9本をそれぞれ数えた。ポープは何よりもまず味方へ感謝した。

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