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アジア 6か月前

「本物のレベルに…」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムにとって特別な120分。脳裏に浮かんだ「自分の軌跡」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「最後の砦であるゴールキーパーが弱さを見せるのは…」



「ありきたりの言い方になるけど、僕には飛んで来るシュートを止めるプレーしかできない。自分の守備範囲内に来たシュートは必ず止めようと思っていたなかで、僕の前でハードワークして、常に体を張ってくれる頼もしい仲間たちがいるおかげで僕も気持ちを込めて戦えた。最後の最後まで粘り強く戦ってくれる仲間たちに応えようと、抜けて来るボールに対して集中力を切らさずに反応できた」

 象徴的な場面が延長後半の終了間際だった。ペナルティーエリア内でこぼれ球に反応したMFコ・サンボムが右足を振り抜く。両足がつっていたゲームキャプテンのDF松原健が必死にブロックに飛び込んだが、シュートは松原の足をかすめて、わずかにコースを変えてポープを急襲した。

 次の瞬間、プロ12年目の29歳にして、初めてACLの舞台で戦うポープがとっさに反応。右手一本でボールを弾き返し、2戦合計スコアで勝ち越される大ピンチを救ってPK戦への扉を開けた。

「本当に難しいコースに飛んできたら物理的にも止めるのは難しくなるし、そのなかで自分の可能性を広げる努力を課してきた。日頃の積み重ねといったものを出せたと思っているし、僕だけじゃなくてサポーターのみなさんも含めたマリノスファミリー全員の力でつかみ取った勝利だと思う」

 しかし、シュートストップだけでなく、左右から放たれるクロスへの対応やハイボールの処理など、数的不利の状況で仕事量が激増した代償が巡ってくる。延長後半に入って左足が、さらに右足がつってしまう。ピッチ上で味方に足を伸ばしてもらいながら、ポープはPK戦突入を待ち続けた。

「PK戦まで耐えれば何とかなる、という認識でしたけど、それでもかなり危なかったというか、ゴールキックも飛ばなくなるなど、プレーに支障が出るレベルでチームに迷惑をかけてしまった。最後の砦であるゴールキーパーが弱さを見せるのはよくないというか、あってはならないと僕は思っている。そこは試合への準備の仕方や日々の過ごし方を含めて、まだまだ改善していかなければいけない」

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