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Jリーグ 2か月前

「満足してんじゃねえぞと…」名古屋グランパス、稲垣祥に訪れた苦境。「自覚している」2失点関与に何を思ったのか【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「自分自身の対応も紙一重の世界で戦っている」



「4月をここまで駆け抜けてきて、自分たちのやりたいことを出せた試合と出せなかった試合がある中、今日が展開的に一番悪い感じじゃなかった」と指揮官もコメントした通り、右FWの中山のスピード、左シャドーの倍井の打開力を有効活用しながらの攻めは迫力が感じられた。

 しかし、彼らは24分、一瞬のスキから失点してしまう。最後尾からのビルドアップの際、左にいた和泉竜司がヘッドで中央へボールを出したが、稲垣のトラップが高く浮き、チアゴ・サンタナに引っかけられてしまったのだ。直後のチアゴの縦パスは稲垣がいったんカットしたかと思われたが、突っ込んできた安居海渡に拾われ、そのままゴール。

「焦ったというか、もうあれしか反応できなかった」と言う名古屋の背番号15は、まさかの出来事になす術を見出せなかった。

 とはいえ、まだ時間は十分にある。すぐに切り替えて反撃に打って出るしかなかった。1点をリードした浦和もそれまでとは見違えるほど攻撃のギアを上げてきて、名古屋は守勢に回る展開を強いられたが、前半のスタッツ自体はほぼ互角。そのまま折り返した。

 迎えた後半。両者ともにゴールを割れない時間帯が約20分間続き、長谷川監督はパトリック、内田宅哉、椎橋慧也の3枚替えを準備。そのタイミングでまたも予期せぬ展開が起きてしまう。

 浦和はアレクサンダー・ショルツが奪ったボールをサミュエル・グスタフソンがキープし、前を走る伊藤敦樹に供給。右にいた前田直輝に出した。こうなれば、生粋のドリブラーは確実に突破を仕掛けてくる。それは昨季まで同僚だった稲垣には予想できたこと。自然と体が反応し、しっかり足を出して阻止したはずだった。が、結果的にペナルティエリア内で倒す形になり、荒木友輔主審にPKを宣告されるに至った。

 結局、これをチアゴ・サンタナに決められ、名古屋の2点ビハインドに。稲垣は記念すべき試合で2失点に絡むという苦境に立たされたのだ。

「(直輝の突破に対しては)だいぶウチが後手後手で遅れちゃったんで、もっといい対応できればよかったんですけど、そこは個人的に反省するしかない。あそこまで持っていかれたところに僕らの落ち度があったし、自分自身の対応も紙一重の世界で戦っているので、突き詰めていくしかないと思います。

 300試合目で2失点に絡んだことも、いい意味で自分への教訓。『満足するんじゃねえぞ、引き締めろ』って神から言われてるんだと思います。さらに引き締めて頑張っていかなきゃいけないですね」と本人は気丈に前を向いた。そうやってミスを前向きに消化できるのが稲垣祥という人間の強さなのだ。

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