小林悠独占インタビュー第3回
明治安田J1リーグを4度、天皇杯を2度、YBCルヴァンカップを1度制覇した川崎フロンターレで、小林悠は15年の間に182ものゴールを重ねてきた。年を重ね、チームにおける自身の立場も変わっていく中で、小林は何を思い、何を伝えていくのか。小林が立てた目標は自らを奮い立たせている。(取材・文:藤江直人、取材日:11月15日)
川崎フロンターレで出会った2人のお手本
インタビュー取材の時点でJ1通算141ゴールをあげて、歴代7位に名を連ねていた川崎フロンターレのFW小林悠は、雷雨で中止および延期になり、後半の45分間だけが行われた11月22日の浦和レッズ戦の開始10分、中止になった8月の前半から数えて55分に、1-1に追いつく今シーズン3ゴール目を加えた。
拓殖大学から加入した川崎ひと筋でプレーして15年目。ルーキーイヤーは怪我でほとんどプレーできず、その後も数多くの怪我に見舞われながら積み上げた数字を、小林自身はどのように受け止めているのか。
「客観的に見ればすごいと思っています。僕自身はまったく想像もしていなかったというか、プロになったときには、こんなにも長くプレーできるとは思ってもいなかったので。すごく頑張ってきたと自分でも思っていますけど、それでも嘉人さんの通算191ゴールにはちょっと届きそうにないですね」
歴代1位に君臨する大久保嘉人と、116ゴールで同10位にランクされるジュニーニョが、川崎で出会ったストライカーの師匠となる。2003シーズンから加入した川崎で「10番」を背負い続け、J2リーグでも2年間で65ゴールをあげているブラジル出身のジュニーニョからは金言を伝授された。
「自分がフロンターレに入ったときに『自分のプレーを見ておけ』と。さらに『チームが苦しいときにゴールを決めるのがエースだ』とも言ってくれて、若いときの自分にとって最高のお手本でした」
2013シーズンにヴィッセル神戸から加入し、2015シーズンまで前人未到の3年連続得点王を獲得した大久保には、ストライカーならではの強烈すぎるほどの個性を何度も見せつけられた。