小林悠の葛藤「プレーできるのもあと何年か、というのもわかっている」
「自分はフォワード特有の動きであるとか、気持ちの部分を伝えられればと思ってきましたけど、一方で強かったときの基準をいまのフロンターレのメンバーでやれるかといえば、多分そうじゃないと思うし、それが正解だとも思わない。サッカーは毎年どんどん変わっているし、優勝したシーズンのサッカーを今シーズンやれば優勝できたかといえばそうじゃない。現代サッカーではポゼッション型のチームは勝てないと言われ、ならば縦に速くとか、いろいろな流れが変わってくる。そのなかでもフロンターレはボールを大事にしていきたいけど、ボールを大事にすれば勝てるのかといえばそういうわけじゃないといった葛藤もあるので」
たとえるならば三歩進めば二歩下がる状態が繰り返された今シーズンで、急成長を遂げた2年目のFW山田新に象徴されるように、未来へつながる選手も台頭してきた。若い頃の自分と山田をダブらせると笑う小林は、濃密すぎる経験を含めて、自身がもっているものをさらに次世代に伝えたいと望んでいる。
「そのためにももっと試合に絡みたいし、もっともっとゴールを決めたい。もちろん受け入れなければいけないところもあるし、あらがっていくしかないと思っているけど、一方でプレーできるのもあと何年か、というのは自分でもわかっている。今シーズンは数多くの選手が引退を発表されたけど、そちらへ引っ張られたくないというか、いろいろ人がやめたからそろそろ自分も、と思うのではなくて、自分がもういいと思ったときにやめたい。それが来年になるのか、再来年になるのかはわからないですけど、そこは自分の体と相談して決めたい」
引退の二文字を口にした37歳の小林へ、さらに質問を重ねた。川崎ひと筋のキャリアになるのか、と。