「今日こそは…」。ヒーローになれた理由は「そう信じています」
「本当に1試合、1試合、死ぬ気で戦っているし、いまはチームの状況がよくなかったけど、こうしてひとつの勝利で上にいけるきっかけは作れると思うので、本当に大事な一戦だったと思います」
先発でも途中出場でも、もちろん常に全身全霊をかけてきた。ただ、福島時代を含めて、プロになって決めた15ゴールは、すべて先発した試合でマークしたものだった。アタッカーの自分が途中で投入される試合は、ほとんどで苦戦を強いられている。チームの助けになりたい。池田は試合前にこう思っていた。
「今日こそは途中から出てゴールを決めて、自分がヒーローになりたい」
目標を成就させた直後に、祖母との思い出が蘇ってきた。おばあちゃんが取らせてくれたゴールなのでは。試合後の取材エリアでこう問われた池田は、静かに「そう信じています」とうなずいた。
ただ、いつまでも涙ぐんでいるタイプではない。試合後にはスマホのゲーム仲間で、無人島にチームメイトを一人連れていくなら迷わずに「ショー」と答える、アシストを決めた福田に問いかけた。
「僕のこと、見えていなかったでしょ」
「見えていなかったけど、信じて出したよ」
福田の言葉に思わず笑った池田は、町田の猛攻にさらされた前半を「ビビっていた」と振り返る。
「前を選択できるシーンで横パスや後ろに下げるとか、何となく迷いながらプレーしている感じがした。外から見てもっと自信をもつとか、強気でミスをしてもいいのにと思いながら見ていました」
最後の5枚目の交代カードで、小田裕太郎に代わって池田が投入されたのが87分。短い出場時間で思い切りのよさ、雄叫び、涙、そしてとびっきりの笑顔を弾けさせたプロ8年目の25歳が、開幕から3勝2分と無敗スタートを切りながら、第6節以降は1勝5敗と失速気味だった湘南の救世主になった。
(取材・文:藤江直人)
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