元チームメイトからの疑問「何で後ろをやっているの」
「サイドのセンターバックよりは、特に攻撃面でやれるプレーが限られますけど、それでも何とか持ち味を出そうとやっていた。それにプラスして、相手をゼロで抑えられたのはよかった。守備において一発でかわされる場面はそこまでなかったし、うまく状況を見ながら、我慢強くプレーできたと思っています」
岐阜県の強豪、帝京大可児高校から加入して4シーズン目。ボランチを主戦場としてきた鈴木は、昨シーズンも開幕から4試合続けて、ボランチで途中出場した。しかし、イエローカードを2枚ももらうなど、試合の流れを悪くする場面も目立ち、第5節以降はベンチ入りメンバーから外れた。
ターニングポイントが訪れたのは、6月1日のガンバ大阪との第17節。宇佐美貴史に喫した2発で敗れた一戦で、J1リーグ戦における初先発を3バックの真ん中で果たした鈴木は89分までプレー。手応えをつかんだなかで本格的に最終ラインにコンバートされ、3バックの左を射止めた。
鈴木がルーキーイヤーだった2022シーズンのチームメイトで、翌2023シーズンから福岡でプレーしているウェリントンには、鈴木がボランチでプレーしているイメージしかなかったのだろう。
1トップで先発した古巣の湘南戦で、試合中に鈴木へこんな言葉をかけている。
「何で後ろ(のポジション)をやっているの」
不思議がるウェリントンへ「コンバートされました」と返した鈴木は、186cm89kgの巨躯を武器に、空中戦と地上戦の両方でJ1でも屈指の強さを誇るストライカーとの1対1をこう振り返った。