「クリーンなバチバチはやはり好きですね」
「ただ空中戦を挑んでも勝てないと思っていました。前半はバカ正直にやってなかなか勝てなかったですけど、後半はいろいろと考えながらやれました。あえてトラップさせておいて、トラップ際を潰しにいくプレーもできていたと思うし、これからもいろいろとトライしながら学んでいきたい」
言葉の端々から「余裕」の二文字が伝わってくる。開幕からキム・ミンテが固定されてきた3バックの真ん中に、FC町田ゼルビアとの前節で35歳のベテラン・大野和成が起用され、福岡戦では大野と鈴木が入れ替えられた。キム・ミンテは故障しているわけではなく、ベンチで戦況を見つめている。
Jリーグが公式ホームページで随時更新している選手個人のスタッツに、鈴木が真ん中で起用された意図が反映されている。第13節を終えた段階で「デュエル勝利総数」と「タックル総数」の2つの部門で、実は鈴木がトップに立っている。昨シーズンの鈴木は、それぞれ42位と30位だった。
守備面における急成長の跡が、先発でウェリントン、途中出場でザヘディが出てくると予想された、福岡の屈強な大型ストライカーに十分に対峙できると山口監督に決断させた。結果として連勝こそ逃したものの、今シーズンで初めて2試合連続のクリーンシートを達成した福岡戦を、あらためて鈴木が振り返る。
「相手をゼロで押さえれば負けないので、それは続けてやっていきたい。ものすごく強いウェリントンに仕事をさせないように厳しくいこう、という点は特に意識してやっていました。いろいろな駆け引きをしながら、楽しみながらできたと思います。クリーンなバチバチはやはり好きですね」
湘南で全試合に先発しているフィールドプレーヤーは鈴木と、他には奥野耕平しかいない。ダントツの1167分に達したプレータイムは、フルタイム出場した場合の99.74%に到達。横浜F・マリノスとの第4節の87分にベンチへ下がっただけで、残る12試合は最後までピッチに立っている。
昨シーズンのいまごろはどこでプレーすればいいのかと悩んでいた鈴木は、180cm78kgの体に強さと勇気、相手をはがせるうまさ、ボランチ出身ならではの視野の広さを搭載したホープへ変貌を遂げた。