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Jリーグ 1か月前

「アマチュアじゃないので」川崎フロンターレの勝負強さの正体はここにある。ACLE躍進の陰に長谷部茂利監督の哲学【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「外れたほうがいい」「アマチュアじゃないので」

 1月の始動と同時に改革は始まっている。それまで選手に任されていた自主練習の時間を制限した。

「1時間半くらい自主練していると聞いたので驚きました。良い悪いではなくて、すべてのメニューは目的を持って組まれている。だからこそ、追加の練習時間も含めてコントロールされるべきだと思っています」

 ピッチ上では100%の力を発揮しなければいけない、という考えが根底にある。試合中も選手がどこかを痛めている素振りをすれば、躊躇なくベンチへ下げる。

「選手が無理をするときとしないとき、時と場合みたいな考え方は選手に伝えている」

 長いシーズンを戦ううえで、何が最善の選択肢か。選手に求めるのはプロ意識である。

「ある部位が張っているのに、出たら怪我をしてしまいました。あとで『実は張っていたんです』と言うのは良くないですね。アマチュアじゃないので。全員がプロフェッショナルになってもらいたい」

 指揮官も選手経験があり、多少無理してでもプレーしたいという選手の気持ちを十分に理解している。だからこそ、それにブレーキをかける必要性を理解している。

「(プレーを止める)勇気という言葉を使ったことはないけど、それに近いと思います。100%でできないのであれば一旦外れたほうがいい。無理するなというよりは、常に100%でやってくれということです」

 4月9日の横浜F・マリノス戦では先発する予定だった宮城天が試合直前のウォーミングアップ中に負傷した。このときも長谷部監督は慌てることなく対応した。

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