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Jリーグ 2か月前

「彼は1年目から…」サンフレッチェ広島、中村草太は“あの先輩”の背中を追う。似た境遇も「そこが圧倒的に違う」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

またもPK獲得も「正直、『ないな』とは…」

 相手ロングフィードを中盤で川辺駿がカットし、加藤陸次樹につながった瞬間、背番号39は一気に加速し、ペナルティエリアに侵入。相手DFに倒され、またもPKを得たのである。

「湘南は前節、ガンバ(大阪)に前半4失点を食らってるっていうところで、今日は守備から入ってくるのかなと思ったんですけど、そういった中でも狙ってました。『シャドウから点を取るんだぞ』という気持ちが表現されたプレーだったと思ってます」と本人もしてやったりの表情を浮かべた。

 だが、すぐにPKとはならず、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入。判定が下るまでに長い時間を要した。

「正直、『ないな』とは思いましたね。『これを取ったら、この後の判定も厳しくなるな』とみんなも言ってたんで、難しいなと考えていたんですけど、『人違い確認』という表示が大型映像装置に出て、『何のことだろう』と。相手が引っ張っていたことも僕は気づかなかったですし、PKに決まった時はホッとしました」

 中村は二転三転した状況を振り返る。山本雄大主審は当初、鈴木淳之介のファウルだと認識したが、キム・ミンテにイエローカードを出し直して試合を続行。広島は前節同様にジャーメインが決め切り、6分の段階から1点をリードしたのである。

 ただ、早すぎるアドバンテージはどうしてもチーム全体を消極的にしがちだ。連戦の疲れもあって、案の定、広島はここから守勢に回るようになる。湘南が一方的に攻める形が続き、前半のシュート数はPKの1本だけ。久しぶりにシャドウに抜擢された中村も不完全燃焼感が募ったに違いない。

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