「前に進んでく意思を示せた」喜田拓也が見据えるのは…
「雨が降って、蒸し暑くて、芝生の状態も重くて踏ん張らないといけない状況で体も疲れてくる。早い段階で両チームともに足にきていたなかで、みんなが本当に体を張りながら出し切ったと思う。少しの差が勝敗を分ける試合で、これまで痛い目を見てきた僕たちがしっかりともぎ取った勝利だと思っています」
2試合ぶりの勝利をこう振り返った喜田は東京ヴェルディに1-0で敗れ、再開初戦でいきなりつまずいた9日の前節から、キャプテンとしてどのようにチームを立て直してきたのかも明かしている。
「リバウンドメンタリティーというか、僕たちからまず崩れない点ですね。負けたのは悔しいけど、次の試合までその感情をもっていかない。そこは僕たち次第で立て直せるものだし、こうしてアウェイの難しい雰囲気のなかで勝ち切れて、前半戦と違う姿を、チームとして前に進んでく意思を示せたとは思います」
30分遅れで始まった一戦で、17位の湘南が土壇場でFC東京に追いついて引き分けた。湘南が敗れていれば順位が入れ替わり、降格圏から脱出できた状況を喜田は知ろうともしなかった。
「ずっとリカバリーをしていましたし、他会場の結果はいい意味でどちらでもいいです。僕たちは勝っていくしかないので。他会場の結果に一喜一憂しているほど余裕がないし、何よりも僕たち自身にフォーカスしている。この試合はもう終わったし、連勝していくことが僕たちには何よりも大事なので」
左ウイングのエウベルが鹿島アントラーズへ移籍して初めて迎えた一戦。角田、デイビッド、谷村と今夏に加入した新戦力の華麗なそろい踏みを、喜田は縁の下で泥臭く支え続けた。小学生年代からマリノスひと筋でプレーし、チームの歴史と誇りを受け継ぐ頼れるキャプテンの視線は、自身の31歳の誕生日となる23日にホームで行われる、7連勝中と絶好調のFC町田ゼルビアとの次節へすでに向けられている。
(取材・文:藤江直人)
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