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日本代表 10年前

服部年宏に聞くW杯で勝つために必要なこと。日韓大会でチームを結束させたあの出来事

text by 海江田哲朗 photo by Tetsuro Kaieda , Asuka Kudo / Football Channel

真価が問われる柿谷

「自分のことを優先する人間が増えてきたら、チームは崩れるんです。人のために積極的にできてきたことができなくなる。自分のことは棚に上げて、失点につながるミスをした選手を簡単に責める。『俺がもうちょっと早くカバーに入ればよかった。ごめんな』と言えれば、失点の意味合い、重さがまったく違ってくる」

 服部はドイツで惨敗する日本代表をテレビで見て、ほぼ想像通りのチーム状態だったことをのちに知った。

「笑ってはいるけど、笑顔が笑顔じゃない。いったん、ああなったら流れを止められないんですよ」

 ブラジル大会、日本代表の前線の軸として有力視されるのは柿谷曜一朗だ。

服部年宏が語るW杯で勝つために必要なこと。長友よ、本田をプールに落とせ!
日本代表の前線の軸として有力視されるのは柿谷曜一朗だ【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 一方、守備面はどうか。服部はディフェンダーの視点から、最終ラインとGKの関係性をこう語った。

「GKへの信頼感が高いと、ディフェンダーは落ち着いて守備の対処ができる。GKによって、シュートを打たれたときの気持ちは全然違います。背後に懸念がなければ『やられた』ではなく、『よし頼んだ』と振り返る余裕がある。そういう信頼関係を築けていれば、守りやすい場面はたくさん出てくる。

単発の試合なら、能力の高い選手を好きに選べばそれで充分。代表クラスの選手なら、誰をチョイスしても大差ないと思う。ただ、W杯は事前準備から1ヶ月も生活をともにする。そこではさまざまなストレスがかかるのは避けられない。監督は、それをパワーに転換できるようなメンバーの組み合わせを考えるだろうね」

【次ページ】プールに落とす意味
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