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日本代表が見ていなかった“相手の顔”。惨敗から残った希望とザックの遺産

text by 河治良幸 photo by Getty Images

自分たちのサッカーが出来た? 実際は相手のプラン通りだったコロンビア戦

日本代表が見ていなかった“相手の顔”。惨敗から残った希望とザックの遺産
ホセ・ペケルマン監督【写真:Getty Images】

 これはペケルマン監督のプラン通りであり、「前半は自分たちのサッカーができた」という日本の選手が振り返る状況は、コロンビアに対して主導権を取っていたこととイコールではない。

 90分を想定してマネージメントしているコロンビアが後半になって有利になるのは必定だったが、それでも日本が攻め切ろうとするのであれば、速いクロスや積極的なミドルシュートも悪くはないが、もっとバイタルエリアでコロンビアのディフェンスを混乱させる仕掛けを繰り出していきたかった。

 キンテーロやハメス・ロドリゲスがセカンドトップに入り、左ウィングの選手が流れで中に入って擬似的な2トップの形を取ることは想定できたことであるし、個人技で主力の2人を上回るグアリンがボランチに入ってくることも前日会見に彼が出席したことで予想はできた。

 なぜ中盤の守備で最も信頼できる山口蛍をスタメンから外したのか。彼の場合は決して守備だけの選手ではなく、中盤をプロテクトしながら攻撃の起点を作っていけたはずだ。

 もしかしたら90分のプレーが厳しく、後半の途中から入れるプランを最初から持っていたのかもしれないが、戦術的には納得しがたい。

 現場レベルで3試合を事前にシミュレーションし、それをトレーニングに反映させ、また結果によって状況も変わる中で臨機応変にアプローチしていくのは簡単な作業ではないだろう。

 それでも対戦相手を試合の入り方、90分のアプローチで上回れなかった事実を考えると、チームの取り組みに甘さがあったと言わざるをえない。

 もちろん選手個人の技術やメンタルの課題があり、サブの起用法も含めた選手層の問題があり、コンディショニングの問題がある。

 そこに戦術と90分のプランニングを加えた、あらゆる面で100%の国など今回の出場国には存在しないが、C組では多くの要素でコロンビアに負けていたし、総合的にコートジボワールとギリシャを上回れなかった。それが多少の運不運こそあれ、3試合に凝縮された結果だろう。

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