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しゃべりすぎた日本代表。対戦国密着取材から見えたメディア対応の違い。記者への厳しい環境がサッカー文化の醸成促す

text by 清水英斗 photo by Getty Images

日本にも求められる取材制限。幅広い情報がサッカー文化の醸成促す

 しかし今回、日本敗退後のメディアやファンの様子を見る限り、他人事のような批判や中傷が少なくないと感じる。注目度が上がった以上は、仕方がないのかもしれないが、寂しいことには変わりがない。

 今大会に関して、戦術面やメンタル面で幼さを露呈してしまった日本代表だが、今後はメディアとの関係についても、取材制限など、他の海外チームのように大人にならなければならない段階が来たのかもしれない。

 冷静に考えれば、筆者が言っているのは自分の首を絞めるのに等しい行為ではある。今回、筆者が行った『対戦国密着レポート』は、それなりに安易な企画ではあるが、実際に相手の合宿地へ行くと、テレビ局のクルー以外で筆者と同じような取材をする記者は極めて少なかった。

 もしも、日本代表が他のチームと同じように取材制限を敷き、連日のインタビューに応じなくなれば、メディアは情報を求めて動き出す。対戦国の合宿地にも、もっと記者が来ていたかもしれない。

 そうなれば規模で劣るフリーランスの筆者は、今回以上に趣向を凝らした取材計画を立てる必要に迫られただろう。

 だが、それでいいと思う。W杯は、何も日本だけが試合をしているわけではない。対戦相手、あるいは他のチームがどのようにW杯に臨んでいるのか。どのように過ごしているのか。また、試合以外にもW杯は、さまざまなイベントや取り組みが行われている。

 日本代表が情報を出さなければ、そのぶん、記事の幅を広げざるを得ない。記者は悲鳴を上げるが、そうやって生み出された記事は、長い目で見たサッカー文化の醸成に対して貴重なものになるはずだ。

【了】

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