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日本代表 10年前

「左には左を」。初戦から見えたアギーレ監督の利き足へのこだわり。坂井招集の理由も利き足にあり

text by 神谷正明 photo by Getty Images

柴崎起用による変化にも注目。攻撃に違いを生み出す

 DFラインの前にアンカーを置くシステムを基本に据えているのも、リスクマネジメントの意識が高いからだろう。守備時にはアンカーがフィルターとして常にバイタルエリアをケアし、簡単に真ん中を使わせない。

 カウンター対策としてもDFラインの前にひとりいることは効果的で、「アンカーを使いながらカウンターをさせない」というのはミーティングでも言われていることだという。

 得点の割合の多くを占めるカウンターのリスクを下げようという指揮官の意向が感じられるし、ウルグアイ戦では真ん中を崩されてピンチを招いたというシーンもなかった。

 ビルドアップの局面でもアンカーの存在は、リスクを下げる装置として機能している。相手のプレスの枚数に応じてアンカーがDFラインに落ちることで数的優位を確保し、ポゼッションしやすくなる。アギーレ監督の母国、メキシコではお馴染みのやり方だ。

 攻撃に変化をつけるのは中盤の選手、特にインサイドハーフのプレーに寄るところが大きいが、ウルグアイ戦ではプレーメーカータイプではない田中と細貝のコンビだったため、パスワークで見せ場を作るシーンがほとんどなかった。

 彼らは与えられた持ち場で自分たちの特徴を発揮していたが、攻撃のアイデアという点では物足りなかった。アギーレ監督のなかではウルグアイ戦のようなシンプルな攻めでもアリなのかもしれないが、多少の工夫はないと攻撃がすぐに行き詰まってしまう。

 ベネズエラ戦では柴崎が左インサイドハーフに入るのが濃厚なので、それによってどんな変化が生まれるのか注目したい。

 柴崎は左右両足を高いレベルで使いこなせるのでシンプルに外を使うこともできるし、視野が広くてクリエイティブな攻撃の起点にもなれる。最近は得点力にも磨きがかかっており、ゴールに直結するプレーでも違いを生み出せる選手なので非常に楽しみだ。

【了】

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