その1：1対1の守備能力

　守備の数的優位を前提としたザッケローニ前監督のスタイルよりも、サイドラインでの1対1が生じやすい。ボールの動きに応じてコンパクトなゾーンをスライドさせるが、そこからプレッシングでボールホルダーを挟み込むよりも、近い選手が1対1で付く形を取る。

　そうなると基本的にサイドバックは相手のウィング、ウィングはサイドバックというマッチアップの構図が出来やすく、そこをしっかり封じることが失点のリスクを減らすことに直結するわけだ。

　しかも現状はあまり高い位置からプレッシャーをかけに行ってはおらず、中盤からやや下がり目にリトリートして、中に入ってきたところに厳しく行く形を取っている。それでも中盤はアンカーを固定的に配置するため厚みがあり、周囲もカバーしやすいが、サイドラインは1対1で破られると一気に危険なクロスやシュートに持ち込まれやすい。

　西は「周りとコミュニケーションを取りながら心がけてやる必要がある」と語るが、局面で生じる1対1で相手の突破を封じる役割が求められる。「今年、東京はほんと守備からのチーム」と主張する太田にとっても代表に定着していける資質の見せ所だ。