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日本代表 10年前

アギーレジャパンでSBに求められる役割とは? ザック時代と異なる3つのポイント

text by 河治良幸 photo by Getty Images

その3:クロスの正確性

 ザッケローニ監督もサイドを起点にした攻撃を植え付けようとしたが、アギーレ監督は早い段階から本格的にクロス練習を取り入れており、ゴール前の動き方の指示もファーから戻り気味に走って合わせる動きなど、かなり細かい。

 そのクロスを早いタイミングで上げるのは大きな特徴だ。もちろん流れの中で縦に抉って上げていくことも有効だが、高い位置でポゼッションをするスタイルではないため、効率よく相手の守備の隙を突く攻撃スピードが求められる。相手の守備が十分に揃っていない状況で出せるサイドバックのアーリークロスは効果的なオプションになるのだ。

 今回のメンバーでも常連の長友佑都や酒井高徳はどちらかと言えば、高い位置までえぐってGKとDFラインの間に通す、あるいはDFのギャップに入れるクロスを得意とする。西と太田はウィング、インサイドハーフもキッカーとして参加した練習でも明らかにクロスの軌道が違っており、浅い位置からでも正確なクロスを狙える能力は代表定着に向けて大きな武器になりうる。

 特に「(ハーフナー・)マイクが前線に張っていたら多少は簡単に上げるというのも考えていかなきゃいけない」と西が語る様に、194cmのハーフナーの高さを活かす上でも、あるいは4-4-2にシフトした時に前線の厚みを活かす意味でも、早いタイミングでクロスを上げられるメリットは大きい。

 加えてビルドアップでも、センターバックや3ハーフからパスを受けた時に、サイドにスペースが空いていればウィングにダウンザラインのパスを供給して、高い位置に起点を作るプレーでもキックの質が求められる。酒井高もクロスやビルドアップの質を課題にあげているが、西と太田の強みとして注目したいポイントでもある。

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