ギリシャ代表との争奪戦となったジアノウとは?
この試合の最大の収穫は、若いMF達の躍動。ムーイとルオンゴという2人の創造的な若手MFが共存することで、攻撃に厚みが加わったこと。さらには、セルティックで活躍を見せるトム・ロギッチもベンチに控えた。
スタメンでの出番は無かったロギッチだが、1得点を挙げお役御免となったルオンゴに変わって67分にピッチに入るやいなや、途中出場から5分で2得点とその攻撃センスを見せつけた。ムーイ25歳、ルオンゴ、ロギッチは共に23歳。彼らが切磋琢磨しながら順調に国際舞台でキャリアを積んでいることは、中盤の戦力がかなり潤沢に整ってきた豪州サッカー界の現況をポジティブに映し出している。
さて、この試合でCFとしてスタメン出場を果たしたジアノウは日本の読者にはなじみのない選手であろう。
ギリシャ生まれでメルボルン育ちの彼は、育成年代はメルボルンでキャリアを積み、18歳になってギリシャに戻りプロ選手としてのキャリアをスタートさせた。
ギリシャのU-19代表、U-21代表でもプレー、クラブレベルでも確実に力を蓄え、2015年に移籍したアステラス・トリポリでブレーク。その活躍が認められて、ギリシャA代表招集を引き寄せるとともに、今年に入ってからは中国クラブの「爆買い」のターゲットとなって広州富力への高額年棒での移籍を果たした。
そのジアノウを巡っては、水面下で豪州とギリシャの激しい争奪戦が繰り広げられてきた。2015年3月にユーロ予選のギリシャ代表に招集されたが、ここではプレー機会無し。11月には親善試合の代表メンバーに選出され、11月17日のトルコ戦で交代出場でギリシャ代表デビューを果たした。
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