ジアノウにとって大きな意味を持つ6月の2試合
しかし、そのデビュー戦は親善試合であり、豪州代表としてプレーできる可能性を残していたことで、豪州サイドは猛烈なアプローチ。同じギリシャ系のポスタコグルー監督の熱心なラブコールに応えた彼は、豪州代表入りを決意。さっそく、今回の2連戦のメンバーに招集され、初戦のタジキスタン戦で先発デビュー、晴れて「豪州代表」となったのだ。
そんな経緯もあって、彼のデビュー戦には注目が集まった。格下相手のデビュー戦で90分フルにプレーし、アシストなど4得点に絡み、その才能は充分に証明するも、惜しいシュートを外すなど無得点に終わった。ケーヒルの「後継者」争いに華々しく参戦するには、初招集即先発で初ゴールという衝撃的デビューこそ相応しかったのだが、初ゴールは今後に持ち越された。
いずれにしても、ギリシャとの長い綱引きを制して、一部に「ビドゥカの再来」との評判を持つストライカーをデビューさせることができたのは、今後のサッカルーズにとっては非常に大きなアドバンテージとなる。
実は、そんなジアノウには、これ以上無い絶好のアピールの舞台が用意されている。6月4日、7日、それぞれシドニーとメルボルンで、サッカルーズとギリシャ代表との親善試合が組まれているのだ。
多文化共生国家・豪州でも、ギリシャ系の存在感は非常に大きい。特にメルボルンは、アテネ以外で最もギリシャ人が多く暮らす街と言われるように、大きなギリシャ系コミュニティが存在する。
メルボルン育ちでギリシャ代表のユニフォームに袖を通したストライカーが、出生国の代表チーム相手に大活躍を見せるという筋書が実現すれば、満員のスタジアムは大いに沸く。すべてがその筋書通りに行ったとき、26歳とやや遅咲きのジアノウは一気にスターダムを駆け上がるのかもしれない。
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