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日本代表 8年前

リオ五輪予選を経た植田直通の変化。「強い相手とやりたい」。更なる強敵を欲する飢餓感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

プレッシャーをかけられても、味方の動きがよく見えている

鹿島で植田とセンターバックのコンビを組む昌子源
鹿島で植田とセンターバックのコンビを組む昌子源【写真:Getty Images】

 アントラーズでの戦いに置き換えれば、リーグ最少失点を誇る「盾」を成す要因をこう説明する。

「僕とゲン君(昌子源)で、試合中も常に声を出し合っている。カバーとチャレンジをしっかりやっていこうと話し合っているので、少しずつ実践できていると思っている」

 だからといって、現状には到底満足できない。相手のミスか1点を先制しながら追いつかれ、そのままドローとなった2日の川崎フロンターレ戦後。試合中に相手選手と激突した左目の下を氷袋で冷やしながら、植田は笑みひとつ浮かべずに取材エリアに姿を現した。

「鹿島自体がナビスコカップで2連敗していて、いい流れではなかったので、この試合は非常に大事になるとわかっていた。上位に行くためには絶対に負けられないとみんなで話していたので、引き分けで終わったことはすごく悔しい。攻撃陣が1点を取ってくれたので、僕たちが失点しなければ勝てていたので」

 脳裏に刻まれているのは、前半36分の失点シーン。MF田坂祐介にノールックの体勢から浮き球のパスを通され、ディフェンスラインの裏に抜け出されたFW小林悠にループ気味のシュートを打たれる。

 シュートそのものは枠をとらえていなかったが、フォローしたMFエウシーニョにゴールを陥れられた。悔やまれるのはエウシーニョの動きでも、ましてや小林の動きでもないという。

「その(小林の)前の段階ですね。僕がもっと早く声を出していれば防げた失点でもあったので」

 心身両面で余裕が生まれ、視界が広がったからこそ、新たに見えている課題がある。たとえば、自身がボールをもった時点で、動き出している味方の前線の選手をより俯瞰的にとらえられるようになった。

「僕のところにかなりプレッシャーをかけられますけど、それでも味方の動きはすごくよく見えている。ロングボールは僕のよさでもあると思うので、だからこそもっと精度の高いボールを通していかないと」

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