ドイツはなぜ強いのか。育成年代では日本が圧勝も、その後に生まれた大きな違い

2016年07月09日(Sat)8時00分配信

text by 中野吉之伴 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , ,

同年代の国際大会では日本が圧勝していた

 別の例を挙げるとヘーベデスはどうだろうか。特別目立ったところがあるわけではないし、攻撃で多くの貢献ができる選手ではないかもしれない。だが、3バック、4バックでのCB、そしてSBでもミスなく求められる仕事をこなすことができるのは非常に高い守備戦術理解を持っているからこそだ。

「守備職人といえばマンマークの達人」だった一昔前のドイツでは、対象の相手を抑えることはできても、そのために生じるスペースをカバーしたり、味方のサポートまでに気を配れる選手はいなかった。そう考えると、ヘーベデスのような選手が出てきたことも大きな成果の一つと数えることができるのではないか。

 また今の代表には、ケディラやボアテングといったハーフ選手が数多くいることも特徴だろう。ハーフの子どもたち、移民系の子どもたちも積極的に登用し、手厚いサポートで育成する方針を固めたことはドイツにとって大きな分岐点となった。

 一つの事例として、02年日韓ワールドカップ前に国際ジュニアユース大会について紹介しよう。同大会でドイツU15代表は静岡U15選抜に1対2、宮崎U16選抜には0対7で大敗している。この時のメンバーにいたのが若き日のケディラやボアテング、元代表のデニス・アオーゴらだ。戦績は乏しくなかった。だが、この遠征から新たなドイツとしての歩み、将来に向けての大きな手応えと財産を手にしていた。

 ドイツのサッカーには着実な積み重ねがある。今あるミスを明日への糧と還元へとできる。困難にぶつかったときに立ち返ることができる原点。何年先までを見据えた長期的なプラン。グラスルーツからのビルドアップ……。

 ふと思うことがある。当時彼らに圧勝した日本人選手はどこに行ったのだろうか。その差を生んだのはどこにあるのだろうか? ハーフの才能ある選手を取り入れたからだけか? 自分たちがこれまで尽力してきた取り組みはすべて次への礎となっているだろうか。日本サッカー界が深く自問自答をし、求めなければならないものは、まさにその部分のはずだ。

(文:中野吉之伴)

【了】

1 2 3

新着記事

↑top