ドイツはなぜ強いのか。育成年代では日本が圧勝も、その後に生まれた大きな違い

ドイツ代表は現地時間7日、EURO準決勝で開催国フランスと対戦。ドイツは押し気味に試合を進めたが、前半ロスタイム、後半28分とそれぞれグリーズマンにゴールを許し、0-2で敗れた。しかし『世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶサッカー年代別トレーニング』の著者で、ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスをもつ中野吉之伴氏は、これまでのドイツの抜本的な育成年代改革の成果が継続されていると評価した。(文:中野吉之伴)

2016年07月09日(Sat)8時00分配信

text by 中野吉之伴 photo Getty Images
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怪我で主力選手不参加も選手層に厚み

ヨアヒム・レーブ
ヨアヒム・レーブ監督【写真:Getty Images】

 ドイツは残念ながらフランスに敗れ、2008年以来の決勝進出は果たせなかった。しかし、この試合でもワールドカップ優勝チームとして随所にレベルの高いプレーを見せてくれた。

 準決勝のフランス戦ではマリオ・ゴメスとサミ・ケディラが負傷離脱、マッツ・フンメルスが出場停止というスクランブルな状態だったが、監督のヨアヒム・レーブは入念に対策を練りあげてきた。特に前半10分からの30分間はフランスを完全に圧倒。ピッチ上では選手たちが監督のマッチプランをただ遵守するだけではなく、自分たちで状況に応じた微調整をスムーズに加えていく。相手との駆け引きで常に先手を打つその戦いぶりからは、熟練の仕事師がもつ老獪な円熟味を感じさせた。

 果たして、そのドイツの強さの秘密はどこにあるのだろうか。

 ここ10年のビックトーナメントの戦績を振り返ってみると、06年W杯3位、08年欧州選手権準優勝、10年W杯3位、12年欧州選手権ベスト4、14年W杯優勝と他に類を見ない抜群の安定感がある。今大会でも準々決勝で大会屈指の強さを誇っていたイタリアとの死闘を制した戦いぶりは記憶に新しい。

 W杯優勝後にはフィリップ・ラーム、ミロスラフ・クローゼ、ペル・メルテザッカーらの引退の影響と、チーム全体が世界王者奪還に成功したことによる燃え尽き症候群の傾向もあり、欧州選手権予選ではふがいない試合内容を見せることもあった。

 だが今回のメンバーを見ても、各ポジションにバランスよく好選手を揃えている。次から次へと才能豊かな選手が出てくる育成力はまさに世界屈指と言えるだろう。今回もイルカイ・ギュンドアン、マルコ・ロイス、アントニオ・リューディガーといった本来主力となる選手が負傷で大会不参加ながらも、それを感じさせない戦い方を披露しているのは特筆に値する。

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