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代表 7年前

【識者の眼】オマーン代表は“仮想サウジ”に適任か? 両国の共通点と違いを徹底解剖

text by 河治良幸 photo by Getty Images

日本がオマーン戦でテストすべきこと

 日本の守備にとって課題となるセットプレーは通常5人の選手がターゲットとなるが、やはり最も危険な選手はFWのアル・マクバリだ。178cmとそれほど大柄ではないが、仲間をダミーにしながらフリーで合わせるのがうまい。キッカーもそれを分かって合わせてくるので、屈強なCBのマルブークなども危険とはいえ、アル・マクバリを絶対に逃さない様にする必要がある。日本の場合はニアのストーンになる選手を除いてマンツーマンなので、誰がどの選手に付くかも見所だ。

 オマーンの守備は奇麗な3ラインのゾーンだが、タイミング良く間を突かれた時にチャレンジとカバーがはっきりせず、間でボールを受けられてしまうケースが目立つ。そうなった時に側面から当たって潰せるほどの強さも無いため、サイドから中にワンツーなどで鋭く入っていく仕掛けは有効だ。

 サウジアラビアとの大きな違いはCBの強さとクオリティだが、齋藤学などがワイドから斜めに鋭く仕掛けていく様な特性をオマーン戦で発揮できれば、サウジアラビア戦に向けて格好のアピールになることは間違いない。

 また、1トップでテストされる可能性が高い大迫勇也はゾーンの間でボールを受ける動きを得意としており、ペナルティエリアの手前でボールを持てばドリブルでゴールに向かうこともできる。そこから危険なシュートに持ち込めればベストだが、ファウルをもらえばPKも獲得できる。実際にケルンでも何度かPKを獲得しており、PKやセットプレーの得点が他国より少ないことを嘆く指揮官にとっても武器が増えることになる。

 オマーンのカロ監督も認める通り実力はサウジアラビアより下回るし、ホームの親善試合であることを考えれば仮に快勝したとしても手放しで称賛することは禁物だが、ここでしっかりテストや確認をして、良い準備で本番のサウジラビア戦を迎えたい。その意味では本当に貴重なテストマッチだ。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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