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代表 7年前

レアル戦でも「いつも通り」の鹿島。“白い巨人”に奢り見えるも、追い込んだのはその実力【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

レアルに向いた監督、ジダン

レアル・マドリー
レアル・マドリーのメンバーは攻撃過多になりがち。歴代監督の課題はいつも守備だった【写真:Getty Images】

 サッカーは選手の年俸差がそのまま試合内容に反映されるわけではない。鹿島がレアルを倒すこともありうる競技である。ただし、常にレアルを倒せるだけの実力をつけるにはクラブやリーグの資金力、競技レベル、ステータスで上回らなければ難しい。それは途方もない道のりで、例えば日本代表がワールドカップで優勝ほうがずっと容易である。

 ジネディーヌ・ジダンがレアル・マドリーを率いてまもなく1年が経過する。クラブワールドカップ決勝まで、わずか2敗しかしていない。獲得したタイトルはクラブワールドカップで3つめ(残りの2つは昨季のCLとUEFAスーパーカップ)。この勢いでタイトルを獲り続ければ、まもなく名監督の仲間入りだ。

 レアルの監督を務めるのは非常に難しい。世界一の選手たちが揃っているのだから、監督にとってこれほど楽なチームはなさそうに思えるが、実はまったくそうではない。

 まず、レアルに無冠は許されない。リーグ優勝して解任された監督がいたし、首位にいたのにクビになった人もいる。世界一の選手たちが揃っている以上、監督に逃げ場はない。成績不振は当然クビ、優勝しても内容が良くなければそれもクビ。言い訳は許されず、よほどの事情がなければ誰も何も待ってくれない。

 そして、世界一の選手たちを揃えているはずなのに常にバランスが悪い。攻撃過多なのだ。歴代監督の戦術的な課題はいつも守備だった。レアルの補強戦略は補強というよりコレクションだからだ。

 それは黄金時代の始まりだった1950年代からそうで、当時世界最高のアタッカーだったディ・ステファノを擁しながら、プレースタイルが丸かぶりするコパを引き抜いてきたのにはじまり、近年ではフィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカム、オーウェンと毎年1人ずつスーパースターを獲得し続けた「銀河系」の時代、BBC(ベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウド)にモドリッチとクロースがいるのにハメス・ロドリゲスを獲得した現在まで、ある意味一貫している。

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