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代表 7年前

レアル戦でも「いつも通り」の鹿島。“白い巨人”に奢り見えるも、追い込んだのはその実力【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

千里の道の一歩

柴崎岳 クリスティアーノ・ロナウド
クラブW杯決勝ではクリスティアーノ・ロナウド(右)がハットトリックを達成するいっぽう、柴崎岳(左)も2得点を奪った【写真:Getty Images】

 鹿島アントラーズはJリーグで最も多くのタイトルを獲得しているが、プレースタイルはひと言で表すなら「堅実」だろうか。極端に攻撃的でも守備的でもなく、戦術的にも特殊なものは何もない。

 フォーメーションも基本的に4-4-2で変わらず。そして、そのままクラブワールドカップの決勝まで勝ち進み、レアル・マドリーに対しても、いつもどおりの鹿島だった。

 クラブワールドカップの前身であるトヨタカップ(インターコンチネンタルカップ)が日本で開始したころ、まだJリーグはなかった。そのころはまだ、欧州と南米の王者による一騎打ちは雲の上の試合、遠くに仰ぎ見る山の頂のようだった。

 やがて日本にもプロリーグが発足し、最初のステージ優勝を鹿島が成し遂げた。山の麓ぐらいまでは来ていたと思う。そして今、山頂目前の絶壁へJリーグのクラブが手をかけた。

 そこまでと、ここからには、また違いはある。だが、最初に頂上アタックを開始したのが鹿島だったのは感慨深い。Jリーグ開幕から、歩調を変えずに進んできた。

 住友金属サッカー部から踏み出した一歩と、クラブワールドカップ決勝での一歩が、同じ一歩だと感じさせてくれるクラブ。相手がレアルでも、世界一を決める舞台でも、一歩は一歩。いつもどおりの鹿島であり、だからこそあれだけの試合ができたのではないか。

(文:西部謙司)

【了】

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