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代表 7年前

レアル戦でも「いつも通り」の鹿島。“白い巨人”に奢り見えるも、追い込んだのはその実力【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

世界一と世界一決定戦に勝つことの違い

 鹿島のプレーはJリーグでのそれと同じだった。伝統の4-4-2、球際の激しさ、試合への態度など、普段の彼らと何も変わっていない。

 Jリーグでも、浦和レッズや川崎フロンターレと対戦したときの鹿島はレアルとのゲームと同じようにプレーしている。相手にボールを持たれても恐れず、落ち着いて守り、ボールを奪えば効果的なカウンターを繰り出すが、無理だと思えばしっかりキープして押し返す。

 J1の年間勝ち点3位だった鹿島が、いつもと同じサッカーでクラブワールドカップの決勝でレアルに善戦したことは、Jリーグ全体にとっても自信になったに違いない。

 鹿島の先発11人はすべて日本人選手だった。一方、レアルのスペイン人はカルバハル、セルヒオ・ラモス、ルーカス・バスケスの3人。クラブワールドカップは外国人選手枠を統一していない。ロナウド、ベンゼマ、クロース、モドリッチなどの外国人選手がすべて抜けてしまえばレアルはもうレアルとはいえない。

 クラブワールドカップにおける外国人選手の数の違いは不公平といえばそうなのだが、そもそもそこがJリーグとリーガ・エスパニョーラの差ともいえる。

 クラブチームのサッカーは、クラブやリーグの持つ力、簡単にいえば財力の差が直接的に作用する。世界一リッチで世界一の選手たちを集めたレアル・マドリーはまさにその典型だ。

 今回の決勝では鹿島にも優勝のチャンスがあったわけだが、仮にレアルに勝って優勝していたとしても、レアルと鹿島の力関係は変わらない。鹿島が世界一のクラブになるわけではなく、世界一を決める大会に勝利した栄誉があるだけだ。

 1998年のワールドカップでフランスが優勝したとき、大会組織委員長だったプラティニが、「フランスは世界一になったのではなく、世界選手権に勝っただけだ」と冷静なコメントを残していたのを思い出す。

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