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Jリーグ 7年前

G大阪・丹羽大輝の折れない心。3年間リーグ出場なしの若手時代に学んだ危機感の重要性【The Turning Point】

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Asuka Kudo, Getty Images

「悔しい気持ちはずっと持ち続けなあかん」

現在ではすっかりガンバ大阪所属のイメージが定着しているが、丹羽は複数のクラブへの期限付き移籍を経験している
現在ではすっかりガンバ大阪所属のイメージが定着しているが、丹羽は複数のクラブへの期限付き移籍を経験している【写真:Getty Images】

――先輩選手との実力差に納得感も?

「納得はしてないんですよ。毎試合、メンバーが発表されるボードに、スタメンにもベンチにも自分の名前がないのを見て、悔しさを覚える。1年目は特にそうでしたね。試合に出られるもんだと思って昇格し、バチンと鼻をへし折られた。1年間、スタメンはおろか、ベンチにすら入れない。すると、最初に抱いていた悔しさがどんどん薄まっていくのを感じた」

――出られないことに慣れてきた。

「となってきていたとき、これはまずい。悔しい気持ちはずっと持ち続けなあかんと。メンバーに入れないゲームが続くと、それが当たり前になっていく。たとえば、犬に弱い電流を流したとします。最初はキャンと啼きますよね。ところが、毎日やり続けると、10日後、20日後、30日後、やがて反応を示さなくなる。その感覚です」

――はい。

「悪い意味の慣れは絶対に良くない。くそっと思えなくなっていた自分に気づいたとき、このままではヤバい。最初に電流を流されたときの自分に戻らなあかん。そう思った。

これを読んでいる若い選手に僕は言いたいのは、その感覚に慣れてしまうのは危険ということ。同じ境遇を味わった人はわかると思うんですよ。そこで、違う電流を流す、別の刺激を与えるといった手を打たなければ、力を発揮できないまま戦力外になったりする」

――その危機感が、2007年徳島ヴォルティスへのレンタル移籍につながる。

「プロ2年目の途中で、ベンチに入るのがやっと。試合に出たいという率直な気持ちがあって、代理人をつけたんです。自分は試合に出て活躍するためにプロになった。外で経験を積み、最終的にはガンバでプレーしたいとクラブに話して、徳島に行かせてもらいました」

――2007シーズン、いきなり45試合に出場。バリバリやりました。

「出場停止以外、ほぼ全試合出ましたね」

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