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Jリーグ 7年前

G大阪・丹羽大輝の折れない心。3年間リーグ出場なしの若手時代に学んだ危機感の重要性【The Turning Point】

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Asuka Kudo, Getty Images

苦手な分野はほとんどない。唯一の弱点は絵を描くこと?

インタビュー時に丹羽が描いたドラえもん
インタビュー時に丹羽が描いたドラえもん

――公立なのにサポート体制を整えてくれたんだ。

「はい、ありがたかったです。校長先生は『丹羽くんのことを応援する。だけど、テストはテスト。点数を取ってくれと。授業を休み、成績も悪いのに進級させる特別扱いはできない。ほかの生徒に示しがつかないからね』とおっしゃいました。

 アジアユースの予選から帰ってきて、次の日がテストという日もあったな。先生から教科書にマーカーを引いてもらい、遠征先のホテルで勉強してましたね」

――それで結果を出した。

「校長先生との約束でしたから。数学はトップに近かったことも。僕、理数系やったんです」

――丹羽選手、お手上げですよ。これは苦手という分野がひとつくらいありませんか?

「絵が描けない。絵心がびっくりするほどない。唯一の弱点かもしれません。サッカーのポジション争いでは、先輩を超えられると思わなければ超えられない。絵も同じで、描けると思わないと描けないと考えたんです。でも、どんだけ自分は描けると思い込んでも、とうとう描けるようにならなかった」

――美術か。

「手先は器用なほうで、工作は大丈夫だったんですけどね。僕は、絵が不得意なのも伸びしろやと思ってて、ピカソ的な先生のところで勉強したいなという考えがある」

――ピカソ的って。

「ああいう絵描きさんは、どういった観点で対象を見ているのか。僕とは見方が違うと思うんですね。見方さえ捉えられれば、書けるようになるかもしれん」

――どれ、さらっと1枚いってみましょうか。ドラえもん。

「ほんまヤバいっすよ。ドラえもんでしょ。ざっくりいきますね」

――どうぞ。

「こういう感じ。どうですか?」

――丹羽選手、なかなかいい仕事をしますね。モンスターだ。

「だから、言ったじゃないですか」

――タケコプターを頭に付けて。

「飛べるようにしときました」

――テレビに出てきたら、子ども泣きますね。こんなのが隣にいたら、腐りかけのゾンビでもシャンとして見える。

「伸びしろしかないですね」

(取材・文:海江田哲朗)

【後編へ続く】

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