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日本代表 7年前

ハリルJ、“ぶっつけ本番”が裏目に。2列目のテコ入れは逆効果。プランの整合性への疑問符【識者の眼】

13日、2018年ロシアW杯アジア最終予選のイラク-日本戦が行われ、試合は1-1のドローに終わった。7日のシリア戦から布陣を変えてきた日本代表。特に2列目の配置は初めての並びとなったが、結果としてこれはマイナス面のほうが大きかった格好に。公式戦に向けた準備の整合性に疑問符が付いた。(文:河治良幸)

text by 河治良幸

ベストとは言えない選択。左サイドの攻撃にマイナス面が大きく

イラクとの一戦をドローで終えた日本代表
イラクとの一戦をドローで終えた日本代表【写真:Getty Images】

 極論を言えば勝ち点3をもぎ取れば称賛され、勝ち取れなければ批判されても仕方ない、そういうシチュエーションの試合だった。そこで勝ち取ることができなかった。

 過酷な試合環境の中で後半の途中までリードを守り、終盤に差しかかった時間帯で1つの判断が明暗を分けることになったが、89分貢献したからそこは仕方ないでは済まないミスだった。

 勝ち点1は獲得した。もちろん次のオーストラリア戦に勝てば本大会の出場が決まるという状況に変わりはなく、悲観する必要は無いが、ハリルホジッチ監督がこのイラク戦で取った選択がベストとは言えない。

 1つが2列目の配置だ。前日練習の情報からスターティングメンバーが出た時点で右から本田圭佑、原口元気、久保裕也という並びを確定的に予想するメディアが多く、実際にそうなった。

 しかし、ロジックとして適切かと言えば疑問に思うファンも少なくなかったのではないか。大迫勇也の後ろに原口を配置し、“縦の2トップ”にして前からの守備とボールを奪ってからの縦の推進力を確保する。

 そこに左サイドから右利きの久保を絡めて高速型のフィニッシュを狙うという意図は明確だ。前半25本に原口と久保のワンツーから突破しかけたのはこの布陣の1つの成果だろう。しかし、左サイドの攻撃に関してはマイナスの方が大きかった。

 これまでアウェイの試合を含め、日本の強みになってきたのが左サイドだった。しかし、このイラク戦では左からの攻撃が全く機能しなかった。

 これまでは原口を起点に長友佑都が絡んでサポートし、時に追い越してクロスにつなげるという形があり、シリア戦では途中から乾貴士が入ることで新たなアクセントが生まれた。

 しかし、この日の久保と長友の関係から攻撃面のメリットはほとんど生まれなかった。

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