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Jリーグ 7年前

川崎Fの歴史が凝縮された90分。ルヴァン杯決勝進出、ACLの悔しさ糧に悲願の初タイトルへ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

堅守速攻型にシフトしたフロンターレを後押ししたベンチワーク

 人数で勝るベガルタが攻勢に出て、14分にフロンターレから期限付き移籍中のMF中野嘉大が1点を返す。もう1点を失えば再逆転を許す状況で、キャプテンのFW小林悠が全員を集めた。

「しっかりとブロックを作りながら、3点目を取りにいこう」

 自陣の中央で檄を飛ばした小林もまた、ACLで味わわされた悔しさを成長への糧に変えようとしていた。副キャプテンのDF谷口彰悟とともに、再び同じような状況に直面したときには、戦い方をはっきりさせようと幾度となく話し合ってきた。

「ズルズルいくよりは、多少時間を使ってでもみんなで集まって、意思を合わせようという話をしていた。そういう場面が失点した後に来たので、みんなで確認できたのは大きかったと思う」

 ベンチのさい配も、堅守速攻型にシフトしたフロンターレを後押しした。三好に代えて長谷川竜也、小林に代えてハイネルと、前への推進力に長けたドリブラーを投入して戦い方をより鮮明にさせた。

「後ろのバランスを崩すことなく前で点を取りにいって来いという形に、オニさん(鬼木監督)も変えてくれた。あのときの自分は(ピッチを)出た人間なので、みんなに託すしかなかった。今日は残してもらったというか残ったので、勝つために自分がもっているものをすべて出しました」

 再びレッズ戦を引き合いに出しながら、フル出場した中村が力を込めた。12回を数えたカウンターの1発目は、長谷川が投入された直後の23分。ハイネルが入った38分以降は、さらに顕著になった。

「1人少なかった割には、後ろが大きく破綻することはなかった。逆に相手のほうが、どうしたらいいかちょっと迷っている感じがしたので、これはいけるかなと。自分たちがバランスさえ崩さなければいけるかな、というのはありました。ACLのあの悔しさは、無駄じゃなかったと思います」

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