川崎Fの歴史が凝縮された90分。ルヴァン杯決勝進出、ACLの悔しさ糧に悲願の初タイトルへ

川崎フロンターレが前身のヤマザキナビスコカップ時代の2009シーズン以来、8年ぶり4度目の決勝進出を決めた。ホームの等々力陸上競技場にベガルタ仙台を迎えた8日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦で、退場者を出して一人少ない状況ながら3‐1で勝利。第1戦の黒星から2戦合計スコアで5‐4と逆転した90分間には、大黒柱のMF中村憲剛が経験した6度の“2位”を触媒として、2000年代から紡がれてきたフロンターレの進化の歴史が凝縮されていた。(取材・文:藤江直人)

2017年10月10日(Tue)13時33分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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選手たちの脳裏に蘇ってきた約1ヶ月前の苦い記憶

川崎フロンターレのMF中村憲剛。一人少なくなった後もチャンスを演出し続けた
川崎フロンターレのMF中村憲剛。一人少なくなった後もチャンスを演出し続けた【写真:Getty Images】

 あらためて数えてみると、ベガルタ仙台のゴールに迫った回数は実に「12」に達した。退場者を出して10人になった後半7分以降の川崎フロンターレが、カウンターを発動させたシーンだ。

 しかも、そのうち3度は6分間が表示された後半アディショナルタイムに繰り出されている。最後まで殺傷能力の高いナイフをちらつかせることができたと、大黒柱のMF中村憲剛は胸を張った。

「相手が違うし、スタジアムも今回はホームの等々力だったけど、それでも『引いたらやられる』というのを、あのときに全員が感じたと思うので。ブロックを作って守りますけど、どこかのタイミングで相手の数的優位というものを消していく作業をしていかなきゃいけないので」

 ベガルタの先勝で迎えた8日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦。もっとも、4日の第1戦で3点のビハインドから2点を返していたフロンターレは、精神的にもやや優位に立っていた。

 アウェイゴールの関係で、1‐0で勝利すれば来月4日のファイナルへ進出できる。そして、先発に抜擢された東京五輪世代の20歳、MF三好康児が青写真通りに前半29分に先制点を叩き込む。

 後半開始早々の4分にも、再び三好がゴールネットを揺らす。2戦合計スコアで4‐3と逆転した直後に、前半の段階で警告を受けていたDF奈良竜樹が2枚目のイエローカードをもらってしまう。

 選手たちの脳裏に、約1ヶ月前に刻まれた苦い記憶が蘇ってくる。フロンターレの先勝で迎えた9月13日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦と、状況はあまりにも酷似していた。

 中村が言及した「あのとき」とは、まさに浦和レッズのホーム、埼玉スタジアムで喫した悪夢の逆転負けのことだ。流れが一気に変わったのは、DF車屋紳太郎が一発退場した前半38分だった。

 この時点でスコアは1‐1で、2戦合計でもフロンターレが4‐2でリードしていた。鬼木達監督は中村をベンチへ下げて、MF田坂祐介を車屋が担っていた左サイドバックに投入して逃げ切りを図った。

 結果としてこのさい配が裏目に出る。カウンターの起点となるパスの配球役が不在となったフロンターレは防戦一方となり、やがて耐えられなくなり、後半25分以降にまさかの3連続失点を喫した。

 クラブ史上初のACLのベスト4進出を逃した悪夢から、チームとして何を学んだのか。成長の跡を問われる状況で、鬼木監督はまずボランチの森谷賢太郎に代えてDF板倉滉を投入した。

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