人体の弱点をつく。風間理論による解決策。身体能力に左右されずゴールを奪う方法

川崎フロンターレでも、名古屋グランパスでも選手の技術を向上させ、圧倒的な攻撃力を発揮してきた風間理論。そこに日本サッカーの得点力を上げるヒントが隠されている。このほど風間八宏監督との共著書『技術解体新書』(カンゼン)を上梓した著者が独特の言葉を用いる風間理論の中でも「外す」に着目し、「決定力」「得点力」の正体を解き明かす。(取材・文:西部謙司)

2017年10月24日(Tue)10時19分配信

text by 西部謙司 photo Getty Images
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ポゼッションと得点に関する間違った期待

川崎フロンターレの選手たちの技術を向上させ、現在は名古屋グランパスを率いている風間八宏監督
川崎フロンターレの選手たちの技術を向上させ、現在は名古屋グランパスを率いている風間八宏監督【写真:Getty Images】

 風間八宏監督のサッカーは「ポゼッション・サッカー」と呼ばれる。確かによくパスはつながっているし、ポゼッション率も非常に高い。率いた川崎フロンターレ、名古屋グランパスで変わらない特徴だ。しかし風間監督本人は、「ポゼッションなんて、あんまり言ったこともない」という。

 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「ポゼッションはそれだけでは何の意味もない」と話していたが、ポゼッション率はボールをどれだけ保持していたかの数値にすぎず、それが勝敗に直結しないのはコアなサッカーファンなら実感しているに違いない。

 ポゼッションが高いと自然に守備が崩れてゴールを奪えるわけではないのだ。得点するにはチャンスを作る、チャンスを決めるというポゼッションとは別の能力が必要で、パスワークでボールを運んでいくのはその前段階にすぎない。

 日本サッカーにある種のポゼッション信仰があるのは、バルセロナの影響が無視できないと思う。ペップ・グァルディオラ監督が率いたバルサは70%のポゼッションでゴールを量産したモンスター・チームだった。

 バルサの影響は日本にかぎらず、欧州トップクラブでも模倣したところは少なくない。だいたいポゼッション自体はすぐに上がる。しかし、それが思ったほど得点には結びつかない。

 パスの本数が増えればミスの確率も上がるので、そのうちにカウンターを食らって負けてしまう。自分のチームにメッシがいないと気づいた時点で、バルサになれないと悟りポゼッションを捨てることになる。

 ポゼッションして点が入らないのはポゼッションが悪い、そう勘違いしてしまったわけだ。ポゼッションすれば半ば自動的に点が入るという間違った期待をしていたのだろう。

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