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日本代表 6年前

英国人が見た北朝鮮戦「代表戦よりFC東京の試合のよう」「北朝鮮が勝って妥当な試合」

シリーズ:英国人が見た○○戦 text by 編集部 photo by Getty Images

「ハリルさんの今日のコメントはさすがだった」

ーー北朝鮮の選手たちのフィジカルはしっかり鍛えられていましたね。

「アンデルセン監督がさっき記者会見で言っていたけれど、平日に代表チームで練習して、週末にクラブチームへ戻って試合をするというのは北朝鮮だけだと思う」

ーー監督の契約に「選手たちに毎日2回練習させていい」と入ってるのも北朝鮮だけでしょうね

「間違いなく。でも、もしできるならハリルさんも絶対にそうやりたいんじゃないかな(笑)。ハリルさんといえば、彼の今日の記者会見でのコメントはさすがだった」

ーーどの部分ですか?

「日本と北朝鮮の『フレンドシップ』について。フランス人の記者から政治的なことを聞く質問が出て、ハリルさんはそれに対して素晴らしい答えで返した。『サッカーに政治はいらない、私はサッカーで友情や親愛を伝えたい』と言っていたところ」

ーー日本代表の広報は一度止めようとしましたが、ハリルさんはそれを制して自分の言葉で話していましたね。サッカーに対する愛情の深さと、彼のパーソナリティの強さを改めて感じました。

「広報はたぶん答えて欲しくなかっただろうけど、ハリルさんの答えは本当に賢かった。彼は情熱的な人ですが、サッカーで、そして人生において、あのようなパッションはとても大事だと思う」

ーー隣り合った国や民族同士の対立についてあれほどしっかりとした意見を持っているのは、1人のボスニア人としてユーゴスラビア紛争を経験しているからこそかもしれません。もちろんサッカーに政治を持ち込むべきではないですが、ハリルさんの経験がなければ、あのようなしっかりとした考えを持てていたかどうか…。

「間違いないね。日本に来る東ヨーロッパの選手や監督は、よくあのような話をする。政治とスポーツの関係や、スポーツの社会的な意味を誰よりもわかっているし、サッカーがピッチに入ってしまえばそれだけで人と人をつなげることもわかっていると思う。もちろんサッカーの記者会見であのような質問は必要ないけれど、『ノーコメント』よりポジティブな答えの方が良いね」

ーー間違いないですね。逃げるのではなく自分の考えを伝えるのはとても重要なことで、あの言葉で勇気づけられるひともいたはず。みんなが幸せになるコメントでした。

「そうですね。ハリルが言った通り今は『少しおかしくなった世界』ですが、もし皆にもう少しあのようなポジティブでオープンな考え方があったら、より良い世界になると思う」

ーー難しい試合でしたが、とにかく今日は勝ってよかったです。韓国が初戦でつまづきましたし、日本の優勝と中国戦の勝利を願って。お疲れ様でした!

「もし優勝できれば皆がもっとハッピーになれるね。お疲れ様でした!」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年、イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

【了】

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